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zoom RSS 酔いどれ前のひとりごと vol.87 アウトがセーフ

<<   作成日時 : 2006/10/10 23:50   >>

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vol.87 アウトがセーフ


 番外で、野球のことを・・・。

 小学6年のときに期間は短かったが、いじめにあった。野球が好きで、日曜にはクラスの男連中と寄り合っては練習した。他のクラスや他校と試合もした。クラスでチームを組んでいて、スポーツ店にたのんで特製キャップも揃えていた。1軍2軍を組織して、実力で序列をつけていた。

 中心はSで、4番で捕手、こいつはヤクルトの古田敦也ような役どころだった。おれは投手で、ピッチング以外は、おおむねSのほうが上だった。

 或る日、まったくもって或る日、Sがおれに「お前を2軍に落とす」と言った。理由は訊いても言わない。数日前から同じクラスのHとTが、Sのそばでコソコソやっていた。真相は分からないがHとTの陰謀だったと今でも思っている。当然のごとく、おれに代わってHとTは1軍に上がった。

 放課後、Sの号令でクラス全員が校庭に集まり、2軍チームと女子チーム(男子を真似て女子もチームを作っていた)の試合が始まった。1軍の連中は審判やったり女子チームに飛び入りでバットを振ったりした。

 なんでおれが2軍にいるのか、いぶかしむ女もいたが、表面上は黄色い声が飛びかう和やかさで、試合ときたら、すべて女子チーム寄り、アウトがセーフに、ストライクがボールに、空振りがファウルチップに判定されて、そのたびに女子の歓声があがる。こんな、試合みたいなものを2つ3つやった。

 ひと月くらいだったと思うが、おれはわけも分からず孤立していた。

 だけどもう我慢ができなかった。仲間はずれは寂しいが仕様がないとしても、女子におべっか使う、あんなエセ野球はやってられなかった。教室の廊下側の壁に生徒用の黒板が設置されていて、好きに使っていいことになっていた。

 昼休み、おれはその黒板にエセ野球への文句と野球チームをやめることを書いた。ベルが鳴って、みんなが席に着く。先生が来るにはわずかに時間がある。おれは立ちあがってSのところへ行き、黒板に書いたことをそっくり、強い口調で言った。

 なんだ、この野郎、と、Sも立ちあがって、そうしたら殴りあいだと、そのつもりだった。野球もクラスもおれ自身もみんなぶっこわしちまえと、思ったかどうか覚えてはいないが、そばにいた女の子の緊張した面持ちは浮かんでくる。

 Sはうつむいたきり何も言わない。なんとか言えよ、あれだけ好き勝手なことやってて、なんにもねえのか、いざとなったらケンカのひとつもできねえのかよ。このくらいのことは言った。Sは依然口を開かない。HとTが加勢に来るかと思ったが奴らも動かない。おれ一人が吠えて、じきに先生が入ってきて、場の空気を察したのか、黒板を見て、黙って消して、いつもと変わらぬ授業が始まって、終った。

 ほどなくクラスの男子は二分した。Sのチームとおれのチームと、2つのチームができた。試合をやろうということになった。Sのチームは、まともに野球が出来るのはSしかいない。勝負以前のものになって、だけど、大勝したって、ちっとも面白くなかった。

 いちばん悪いのはHとTで、Sじゃない。おれに対してHとTからは悪意を感じたがSからは感じなかった。Sは野球が好きだがHとTはそうじゃない。日曜の練習にはSとおれは休んだことがなかった。HとTは練習に来たためしがなかった。

 自我に目覚めたり色気づいたり、そんな頃のこと。まあ、話半分。


▽バックナンバー
vol.86 重箱のスミ〜2006年10月号
vol.85 ラウンドガールは飯島愛
vol.84 重箱のスミ〜2006年9月号
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vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
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■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
アウトがセーフに、ストライクがボールに、空振りがファウルチップに判定されて・・・って、あの有名ボクサーの試合のたとえ?
えざわやいきち
2006/10/11 12:59
オレもそう感じた…。
成り上がり
2006/10/11 18:45

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