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help リーダーに追加 RSS On Boxing@PC #006

<<   作成日時 : 2007/08/25 23:30   >>

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レイ オオヒナタの《On Boxing@PC》
――モニタの片隅からセカイを覗く――

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#006 キューバ勢ウオッチ【亡命事件の顛末】


 皆さん、こんにちは。毎日毎日毎日毎日毎日、脳汁も干からびる程の暑さにすっかり神経をやられて更新が滞っているオオヒナタです。

 当連載、試合の動画観戦記がメインなのですが、今回はそれに該当せず、前回までの事実内容に関して、補足をさせていただきます。

 またまた長文で申し訳ありませんが、ご一読を……。


急転回

 前回の更新では、12月と7月に発生したキューバ人オリンピアンの亡命にからめて、キューバが今後のプロボクシングに与えうる影響を希望的に書きました。

 12月にはオドラニエル・ソリス(ヘビー級)、ヤン・バルテレミ(ライト・フライ級)、ユリオルキス・ガンボア(フェザー級)。そして7月にはギジェルモ・リゴンドウ(バンタム級)とエリスランディ・ララ(ウェルター級)。

 いずれもナショナルチームのエースと呼びうる中核選手です。順調にいけば、かなりの確立でプロでベルトを射程に入れられるでしょう。

 とりわけ、ヘビー級のソリスと、現在のアマPFPとも目されるリゴンドウ亡命のニュースには業界の期待が高まりました。

 ただ、残念なことに、7月に亡命を試みたそのリゴンドウ、ぼくも記事に書きましたが、いったんはドイツのプロモート会社と契約が発表されたんですけど、その後、事態が急変!

画像 一緒に逃亡したララとブラジル国内で当地の警察に保護され、キューバに強制送還されてしまったのです。

 事件の詳細は下記にまとめたリンクに詳しいですが、簡単に経過を説明しますと――


強制送還

 7月にリオデジャネイロで行われていたパンアメリカン大会に参加していた2人は、7月22日に行われたバンタム級およびウェルター級のクォーターファイナルの計量に姿を現さず失格負けとなり、キューバチームのコーチは「2人は選手村から消えた。亡命したと思う」とコメント。

 そして同26日には、ドイツ・ハンブルグに本拠を構えるアリーナ・ボックス・プロモーションが「2人と5年の契約を結んだ。1カ月以内に2人はハンブルグに来るが、居場所は明かせない」と発表。

 アリーナ・ボックスは、すでに亡命していたソリスたちを4月にハンブルグでプロデビューさせていましたから、リゴンドウたちの亡命は間違いないものと思われましたが、7月31日にアリーナ・ボックスがHP上で、

「カストロが、我々と亡命した2人を起訴した上で、国内に残った選手の家族や友人に何らかの報復を加えると伝えてきた」

 と発表したことで、事件の先行きは急速に不透明に。

 その後の展開は急で、8月2日の深夜から3日早朝にかけてリゴンドウとララがリオ沿岸の保養地帯にあるホテルで地元警察に拘束され、その週末にはもうキューバに強制送還! という次第です。

 ポルトガル語をまったく話さない身元不明の外国人として保護されたリゴンドウとララは、政治亡命を勧めるブラジル警察に、自分たちは亡命を試みたキューバのボクサーであること、しかし今は後悔しているので国に戻りたい、との供述を行ったそうで、

◎選手村を出たのはビデオゲームを買うため。
◎亡命を試みたわけではなく、一服盛られ、誘拐された。書類も意識朦朧でサインした。
◎大会中にプロモーターにバーに誘われ、飲み過ぎ、食べ過ぎてウェイトオーバーを起こしたことがわかり、パニックになって逃亡してしまった。

 とも述べていますが、これをまともに受け取ることはできないでしょう。いまや冷戦も終結して10年以上もたち、拉致・誘拐など、まったくナンセンス極まりない。ありていに言えば、苦笑いするしかないというぐらいのお粗末ないいわけです。

 やはり、アリーナ・ボックスがHP上で発表したように

「彼らは家族の安全保障上の懸念から亡命を断念。帰国することにした。こちらからは一切強制していない」

 ということが大きな原因だと推測されます。

 実際、今回のように「カネに転んだ裏切り者は国家反逆罪で手配する」とカストロ議長がコメントを出したり、家族への報復をすると言い出したなどというのは、とくに後者は前例がない(12月に亡命したガンボアは、6月に家族をマイアミに呼び寄せている)。

 リゴンドウ達にしてみれば、話が違う! と恐慌状態に陥ったのかもしれません。キューバ人は非常に家族・親戚の絆を大事にしますから(アリーナが派遣した弁護士も断ったそうですし、この頑なさはそれ以外に考えられない)。


処遇

 カストロ議長は、強制送還された2人の処遇に関して、「言い訳」を理解したうえで、

「処罰はしない。(チームから追放して)、スポーツ関係の仕事を割り振る」

 と、微妙なニュアンスの発言をしています。
 ↓
http://in.reuters.com/article/worldNews/idINIndia-28829420070805
http://www.javno.com/en/world/clanak.php?id=69305

"They will be offered good jobs in sports in line with their knowledge and experience,"
Castro said in the latest of his writings to appear in the state-run media.

 この一文のニュアンスを解釈すると、代表チームからは「切られ」て、「特性を生かせる仕事」=コーチか、末端のスポーツ関係の仕事に飛ばされる可能性が極めて高い。

 今までも、野球やバレー、ボクシング等、亡命に失敗した選手には同様の措置が下されています。

「ボクシングチームは限度(我慢の?)を超えた」
「チームから逃げることは軍隊で仲間を見捨てることと同じだ」(上記2つのリンク参照)

 との発言からもそれが伺えます。


キャリア終焉……!?

 事件後の一連の流れを見る限り、リゴンドウとララのキャリア自体が終わる可能性が非常に高いと言わざるを得ないのです。

 アマでも試合に出れず、プロ転向もやめてしまったとなれば、特に来月で27歳になるリゴンドウの場合、数年後に何らかのきっかけで競技に復帰したとしても、もはや競技者としては手遅れ。

 あれほど素晴らしいボクサーが、まさに全盛期のいま、みすみす時間を磨りつぶしてユースチームのコーチでもやらされるのかと思うと、どうにも腹立たしい気持ちです。

 カストロは、

「運動選手のモラルと愛国心は何よりも重要だ」

 と述べていますが、選手に実質的な自由が無い中でのこの発言は、スポーツをイデオローグの道具としか考えていない、選手達を自分のコマとしてしか見ない、とてつもない傲慢さが現れているといえます。

 彼は今回の件が相当頭に来たらしく、10月にアメリカのシカゴで行われるアマの大会、及び、北京五輪への予選にボクシング・ナショナルチームを派遣しない可能性すら言及していますが、このような暴走した行動も、思考のゆがみを裏付けています。
 ↓
http://www.javno.com/en/world/clanak.php?id=69305
http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200708090025.html


復帰を祈念!

 今後、どうなるかは続報を待たねばなりませんが、

 せめて二人の迅速なチーム復帰を祈りたいものです(理想は再びの亡命なのですが、可能性はきわめて低い)。

 特にリゴンドウは復帰した場合、五輪3連覇、世界選手権3度目の制覇が確実なのですから、独裁者のエゴでその希少なパフォーマンスを潰してしまうのはまったくナンセンスで、著しく彼の国の評判を落とすことにしかなりません。

 注視していきたいと思います。


▼関連リンク
《亡命の第一報》
http://www.iht.com/articles/ap/2007/07/22/sports/LA-SPT-Pan-Ams-Missing-Cubans.php
http://www.superboxing.co.za/default.asp?id=222946&des=article&scat=superboxing/amateur
http://espndeportes.espn.go.com/news/story?id=580681&s=box&type=column
http://espndeportes.espn.go.com/news/story?id=580588&s=pan&type=story
http://www.boxingtalk.com/pag/article12938.html

《身柄拘束について》
http://abclocal.go.com/kfsn/story?section=sports&id=5537076
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/6929550.stm
http://www.earthtimes.org/articles/show/89971.html
http://edition.cnn.com/2007/WORLD/americas/08/03/cuba.brazil.reut/index.html#cnnSTCText

《強制送還の詳細、二人の供述、その後のカストロのコメント》
http://www.earthtimes.org/articles/show/90368.html
http://sports.espn.go.com/oly/news/story?id=2962062
http://www.canadaeast.com/sports/article/43769

http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DO_N_ID=18053
↑<日本語>↓
http://www.nikkeyshimbun.com.br/070807-25brasil.html


▽バックナンバー
#005 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の後編】
#004 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の前編】
#003 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の後編】
#002 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の前編】
#001 はじめに


■レイ オオヒナタ
19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
実際問題キューバではそこまで迫害はしないので、プロで活躍後数年してから呼び寄せるってのが良い選択だったと思うが・・・。リゴンドウとララはこの後毎日のように亡命をやろうとしたのとしなかった事について後悔するんでしょうね。ほんとこう言う事をする権利は国家にはない筈・・・。

キューバがボイコットしたら他の国がもっと活躍できるので、別にそれはそれで問題はないと思います。というか活躍国と世界のアマやプロ活性化の為にはした方が効果が大きいでしょう、一回くらいは。

2007/08/26 02:01
>b さん

もともとキューバは亡命者に比較的寛大な国で、国籍を変えれば一時帰国も出来るらしいという状況だけに(ミュージシャンはよくそうやってる模様)、今回、カストロがなぜあそこまで苛立っているのかが分かりづらい。昨夏の病気のせいか、アラファトがそうだったように、耄碌してきて気が短くなっているのか・・。

事件の規模としては12月のソリスたち三人の方が重大事件なのに、何も言いませんでしたからね。過去、カサマヨルやホルヘ・ルイス・ゴンザレスあたりのときも家族への迫害などは口にさえされなかったはず。

ただ、今回の「報復」も、報償として与えた車や家財の没収、縁者の短期の逮捕・拘束だったそうで、他の旧東側諸国や南米の軍事政権の基準から比べれば、極めて「穏便」だとは言えるでしょうね。ララとリゴンドウはさらなる迫害を懸念したから戻ったのでしょうけど。

レイ・オオヒナタ
2007/08/26 15:30
>b さん

>キューバがボイコットしたら他の国がもっと活躍できるので、別にそれはそれで問題はないと思います

これは・・微妙ですよね。ロシアと東欧の選手でほとんどメダルを持って行くだろうから、彼等は活気づく。でもアジアやアフリカ、中南米勢の状況はあまり変わらず、依然として厳しいままでしょう。実際、最近の五輪、世界選手権などもキューバ、ロシア、東欧でほぼ9割のメダルですしね。軽い階級はともかく、フェザーから上は入りこむ余地がまるで無い感じ。

個人的にはアマのスタイルではキューバが断然好きなので、ボイコットするなら残念です。
冷戦の時期も終わって長く、中国に対する政治的抗議でもないのにボイコットするってのはどうにも不毛かと。

やはり、活性化にはキューバのプロ解禁が最善ですね。ハバナで興業やって欲しいなぁ。
いつになるやら、ですけど。

レイ・オオヒナタ
2007/08/26 15:51
亡命の一報を聞いて
リゴンドウの独特の間合いがプロのリングで見られるのかと思ったのに、こんなことになっていたとは・・・残念です
jk
2007/08/26 17:24
アマにも出られなくなるのは痛いですね。
来年の北京五輪以降はヘットギアが廃止される予定なので、キューバ人の身体能力がさらに活きるのだろうし。
ギアなしのリコンドー見たかったな。
拳霊
2007/08/29 11:40
キューバ、今秋の世界選手権ボイコット決定です!
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜あ

亡命心配でキューバは代表派遣せず
http://www.nikkansports.com/sports/f-sp-tp0-20070830-248854.html
レイ・オオヒナタ
2007/09/01 13:01

http://www.nikkansports.com/sports/
f-sp-tp0-20070830-248854.html
レイ・オオヒナタ
2007/09/01 13:05

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