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――モニタの片隅からセカイを覗く―― ※バナー作成中 ←←← 前フリ…の前編 ◆亡命の波 供給先、とはいったが、公式には未だアメリカと「戦時中」の共産キューバでは、アスリートは基本的に国家の威信を示す「駒」として厳しい管理下にあり、プロ活動どころか、選手の行動も大幅な制限を受けている。 独裁・強権を背景にした隔離+集中的強化が、かつての共産圏の五輪における躍進を支えていたのは周知の事だが、キューバも例外ではないのだ。 そのような状況下で、もし仮に彼の国のボクサーがプロを志すなら、現在、取るべき選択肢はひとつしか残されていない。 それはDefection=亡命である。 これまでも、ホルヘ・ルイス・ゴンザレス、ホエル・カサマヨル、ディオベリス・ウルタド、ラモン・ガルベイ、エリセオ・カスティージョ、フアン・カルロス・ゴメス等々が、合衆国やドイツに新たな活躍先を求めて“エスケープ”している。 彼らが逃げ出した直接の原因は、ソ連消滅に伴うキューバ経済の崩壊だったわけだが、一連の亡命騒ぎは1990年あたりから96年前後まで断続的に続いていた。この流れが一段落した以後は、キューバ経済が多少持ち直したこともあってか、昨年まで目立った集団逃亡騒ぎは起きていない。 時折、思い出したようにピークを過ぎたベテランやほとんど実績のない若手が単発的に亡命することはあったが、全体の状況としては落ち着いていたといえる。 だが昨年の暮れ、そんな小康状態を一気に変えるようなことが起きた。 世界選手権三連覇(2001&03年ヘビー級、05年スーパー・ヘビー級)にしてアテネ五輪金メダル、チームのエースであるオドラニエル・ソリスを筆頭に、ヤン・バルテレミ(01年世界選手権、アテネ五輪ライト・フライ級金メダル)、ユリオルキス・ガンボア(アテネ五輪フライ級金メダル、05年世界選手権銅メダル)の3人が、パン・アメリカンゲーム2007のために行われていたナショナル・チームのベネズエラ合宿から逃亡し、コロンビアのボコタ経由でドイツのハンブルグに亡命したのだ。 当初はマイアミにとどまるかと思われた3人だったが、2月まで待たされた滞在ビザの問題と、ドイツの新興プロモーター、アフメト・オネルが率いるアリーナ・ボックス・プロモーションと契約を結んだ関係で、3月にその本拠地ハンブルグに向かい、4月後半には当地でプロ・デビューを果たした。 ソリスたち3人だけでもキューバのナショナル・チームにとっては酷い痛手だったが、加えて、追い打ちをかけるようにさらなる亡命騒ぎがつい先月、7月の後半に持ち上がる。 現在のアマチュア・ボクシングのパウンドフォーパウンドと目される、バンタム級のギジェルモ・リゴンドウ・オルティス(シドニー、アテネともに金メダル。加えて01&05年の世界選手権金メダリスト)と、05年の世界選手権ウェルター級金メダルのエリサンディ・ララが、パン・アメリカンゲームの真っ最中に選手村から逃亡した。 すでにアリーナ・ボックス・プロモーションと契約を結び、ハンブルグに向かう準備を始めている模様なのだ。 年末から続いたこの一連の亡命劇は、明らかに96年以来の大波だ。 ソリス、ガンボア、バルテレミ、リゴンドウ、ララと、半年のタイムラグはあるにせよ、一気に5人以上もが、それも、みな一線級のボクサーが大量逃亡するというのはタダ事ではない。 昨夏、革命以後のキューバ政府そのものとさえ形容しうるフィデル・カストロ国家評議会議長が胃腸の大手術を行うために一線を引いたことも何か影響しているのだろう。 多数の臓腑を摘出し、明らかに死相が感じられる議長の姿を見て以来、キューバでは誰もが「カストロ以降」を考えて行動しているので、議長が急死したときのゴタゴタに巻き込まれるのを恐れ、手遅れにならないうちに“沈む船”から逃げ出そうと考えたのか。 リゴンドウがララとともに逃げ出したのは、明らかにソリスたちに影響されてのことだろうし、オネルがリゴンドウと接触して契約したタイミングの早さといい、ソリスら3人のケースも含め、事前になんらかの引き抜き工作が行われていた可能性もある。 亡命後の保証もなしに、ソリスやリゴンドウのようなエース級の選手が逃げ出すとは考えにくいからだ。 この10年、キューバからはミュージシャンも頻繁に亡命しているが、芸能人である彼らと、国家の政治的な駒でもあるアスリートは同列にはできない。 ◆好素材輩出国に注目! いずれにせよ、彼らの亡命はプロ側にとっては朗報だ。 なかでも致命的な黒人のタレント不足に喘ぐヘビー級にとって、アマヘビー級屈指のテクニシャンにしてサボンの後継者としての地位を固めつつあったオドラニエル・ソリスの参戦は大きなニュースで、待望されていたと言ってもいい。 ソリスは実績も充分すぎるほどで、デビューからの3戦も極めて良いパフォーマンスを見せた。 パッとしない若手ばかりの中、同じくアテネ五輪金メダルだったロシアのポベトキンと同じく、早急なトップ戦線への参加が望まれる。 そして、ソリスと並んで非常な注目を集めているのは、現在のアマPFPとも謳われるバンタム級のギジェルモ・リゴンドウ・オルティス。 あのマリオ・キンデラン直系の超スピードボクシングは、もはや芸術的ですらあり、わずか数敗しかしていないキャリアが示すとおり、アマではまったく他選手をよせつけない強さを誇っていた。 注目度ではやや劣るが、ガンボア、バルテレミ、ララの3選手にしても、全員が並はずれて優れた選手であり、魅力的である。 気候、生活など、環境面での躓(つまず)きがなければ、いずれ必ずタイトルに絡んでくるに違いない。 彼ら以外にもキューバには素晴らしい素材がまだまだ多数存在しているのが(これだけ主力が流出しても、7月のパンアメリカンゲームでは11階級中、6階級もキューバ人が決勝に残った。大会中にエスケープしたララとリゴンドウがいれば、おそらくは8階級で進んでいたはずだ)、今回の件とこれからのソリスたちの活躍次第で、キューバからの亡命騒ぎはまだまだ続くと思われる。 先走ったもの言いかもしれないが、カストロの余命がすでにカウントダウン状態に入ったことが、その有力な根拠になる思う。 今のところ体調を戻してきているとはいえ、あの年齢(80)で胃腸の摘出手術をしているのだ。明日訃報が入ったとしても何の不思議もないだろう。 長期に渡ってアメリカと対立し、キューバを牽引してきた髭のカリスマ独裁者が世を去った場合、数年しないうちに彼の国は確実に資本制を受け入れると予測されているが、そうなれば雪崩を打って人材の流出が始まるのは間違いない。 プエルトリコやドミニカ、ジャマイカとは比較にならないほど高い質を誇るアマのボクサーたちは、東欧勢と同じようにシーンを変える力を持っている。 市場としては中国にも大きな可能性があるだろうが、選手の質から言えば、今のところ期待に値するレベルには遥かに遠い。 今後、2010年代のボクシングシーンはキューバに注目である。 長々と書いてきて、試合雑感記のくせに試合のことに全く触れていないことに気づいた。 それはイカンということで、この辺りで、プロデビューしたソリスたちのこれまでの試合について触れ……るのは、すんません、長くなりすぎたので次回に。 ……つづく ▽バックナンバー #002 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の前編】 #001 はじめに ■レイ オオヒナタ 19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。 |
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|---|---|
北京五輪出場へ、ボクシング川内選手
米国シカゴで開かれているアマチュアボクシング世界選手権のライトウエルター級で3... ...続きを見る |
北京2008、北京五輪なんでも情報 2007/11/01 21:32 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
中国もアマボクは急激に伸びていますよ。 |
拳霊 2007/08/05 13:05 |
90年代よりずっとカストロ死去後&亡命キューバ選手の動向を考えてました。中国もインドも中東もかなり伸びてます。アフリカも漸増。シーンの大変換でしょうね。 |
b 2007/08/06 01:38 |
今回の第2期流出劇はカストロの病気が原因なのでしょうか。個人的にはブッシュ政権による在米キューバ人がキューバ本国へ送金できなくした経済封鎖がきっかけだと思います。これで持ち直した経済がガタガタになったそうです。現在、事実上の政権を握っているカストロの実弟の手腕は高く一気に資本制に移行はなさそうです。これからは、選手へのガードもきつくなるだろうし、これ以上の流出は期待できないのではないでしょうか。5選手には、大いに活躍してプロのシーンに新しい風を導入してほしいです。 |
拳霊 2007/08/06 14:30 |
>拳雲 さん |
レイ・オオヒナタ 2007/08/20 03:49 |
リゴンドウとララの一件で、 |
レイ・オオヒナタ 2007/08/20 03:52 |
>b さん |
レイ・オオヒナタ 2007/08/20 04:08 |
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