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help リーダーに追加 RSS On Boxing@PC #005

<<   作成日時 : 2007/08/09 22:50   >>

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レイ オオヒナタの《On Boxing@PC》
――モニタの片隅からセカイを覗く――

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#005 キューバ勢ウオッチ【ようやくビデオ観戦…の後編】

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ガンボア&バルテレミ

 2004年のオリンピックではフライ級(51キロ)で金を獲ったガンボアだが、一昨年の世界選手権(銅メダル)や昨年のワールドカップではすでにフェザー級(57キロ)で試合を行っていた。このデビュー戦でも57キロで出てきたから、プロでもフェザー級からのスタート(しかし、3戦目ではもっとウェイトを増やした60.5キロのライト級で試合をしていて、今後はどうなるのか分からない)。


◆Friday 27 April 2007@Arena Gym, Hamburg, Germany
「Back To The Top」
【フェザー級4回戦】
ユリオルキス・ガンボア(57キロ)/0-0-0
 ――判定 3-0(40-36×3人,4Rにマンベイリャンは1ダウン)――
× アレクサン・マンベイリャン(56.4キロ)/6-1-0, 4KO

 ↑1〜2R     3〜4R↓



◆Friday 6 July 2007@Arena Gym, Hamburg, Germany
【ライト級6回戦】
ユリオルキス・ガンボア(60.5キロ)/2-0-0, 1KO
 ――TKO2R time : 0:35――
× ホエル・マヨ(60キロ)/40-11-0, 25KO



 このガンボア、はじめてアテネ五輪の映像で試合を観たときから「こいつはプロでもやれるな」と確信していたのだが、その予想通り、転向してきてからの3戦でも素晴らしいパフォーマンスを見せた。

 ある意味で、亡命した誰よりも早くプロルールに適正を発揮しているのかもしれない。向こうッ気が強く、ポイントゲームであるにもかかわらず前へ前へ出る強引な姿勢、上体と下半身の強い筋力を活かした、左右フックの連打で相手を攻め立てるアグレッシブなスタイル、なんとなく不穏な気配を秘めた、華のある容姿……。

 いずれもプロの世界では強力な武器になる(人気面では容姿も含む雰囲気も重要だ)。

 実際、まだ荒削りとはいえ、ガンボアの連打のスピード(だいぶ手打ち気味だが)、華麗さ、俊敏なステップワーク、卓越した反射神経やボディバランスの良さなどは素晴らしいものがあり、キャリア初期、わりと真面目な試合した際のハメドと、もっともスピードがあったスーパーフェザー時代のメイウェザーを足した様なボクシングとも形容出来そうだ。

 ソリスと同じ興行でのデビュー戦で、ガンボアは上述した要素を存分に見せつけている。リングにシューズが吸い付くような鋭敏なステップで縦横に動き回り(ゴムマリのようで本当に柔軟な動きだ)、ダブル、トリプル、ボディから顔面への「ストレート、逆ワンツーなど要所で多彩な連打をまとめ、ここまで7戦して1敗だけのマンベイリャンをまったく寄せ付けずに圧勝。

 難点を上げるとすれば、パンチが全体的にだいぶ手打ちで、やや連打のリズム、強弱が一定すぎるところだろうか。序盤からかなり飛ばす選手なので、スタミナの配分にもやや不安が残る。

 終始攻勢をとり続け、ダウンまで奪いながら倒しきれなかったのもこのあたりに原因があると感じた。下半身を充分使わずに上体の回転だけで打っているから、見栄えはほどには効かないのだ。デビュー戦だけあって、ポイントゲームであるアマの癖が抜けていないのだろうが、試合数を重ねるうちに徐々に修正していけば、素晴らしいKOを量産してくれるだろう。

 事実、7月の第3戦では既に改善が見られ、2回早々で経験豊富なチリ人、マヨをあっさりとTKOしている。この試合は本当に素晴らしい出来で、客席からも拍手がたえなかった。

 マヨのパンチを全て見切ってカウンターを取り、打っては離れ、クリンチもほとんどさせずにステップとボディワークで相手をいなす様は実に華麗、まさにパーフェクトゲームと呼ぶに相応しい。

 フィニッシュシーン、右ストレートを顎にヒットさせ、マヨがぐらついてロープまで後退したところを追撃するガンボアの、猫科の肉食獣のような鋭いブローは上質なラテンボクサーの魅力に溢れていて、必見だ。

 パンチをしっかり打ち抜かず、速さ重視で手打ちなのは依然として変わっていないが、出入りのタイミングやリズムなど、攻めのバリエーションに以前より緩急と強弱が見られるようになってきたし、全体の動きもよりテンポ良く、しなやかで、魅力的だ。若干ガードが低すぎる気もするが、この辺りは運動量と反射神経でカバーしていけるかな。

 いかなるレベルの相手にもこの戦法が貫けるようになれば、ガンボアがベルトを巻く日はそう遠くないんじゃないかな。


◆Friday 27 April 2007@Arena Gym, Hamburg, Germany
「Back To The Top」
【スーパー・バンタム級4回戦】
ヤン・バルテレミ(55キロ)/0-0-0
 ――判定 3-0――
× ラヴィル・ムカマジャロヴ(53.5キロ)/6-19-0, 5KO

http://www.hamburg1video.de/video/iLyROoaftcka.html

 これまでのところ、バルテレミは、亡命した選手の中では一番注目されていない選手かもしれない。

 いちばん地味といってもいいかもしれない。アマ実績ではカサマヨルを上回るし、スタイルが全く違うので比べるのもどうかと思うが、チーム内のポジション的にはカサマヨルとやや似たものを感じる。

 強引に比較すると、かつてのチーム・フリーダムでのガルベイ=ソリス、ウルタド=ガンボア、バルテレミ、カサマヨル、といった案配だ。

 まだ26歳なのにハゲのフラグが立っているから? 老け顔だから? 漂うオーラ自体が控えめだから?

 まぁそれは冗談だが、もともとライト・フライ級という最軽量級の出身であり、体重を上げたプロでも、スーパー・バンタムという、注目度がじゅうぶんに高いとはいえない階級で戦っていること、なおかつ、これまでの試合でもパワー不足が見受けられたからだろう。ソリスたちの陰に隠れてしまっているというのもある。

 しかし、ぼくはアマの頃から、このボクサーの戦い方がかなり好きだ。細身でリーチが長いサウスポーの特質を活かし、やや猫背気味な姿勢から思いっきり振り回すようにパンチを打ち込む、攻撃的なスタイル。ややロジャー・メイウェザーやディオベリス・ウルタドを彷彿とさせるような独特の軌道のコンビネーション、せわしなく、回転の速いワンツーは実にシャープで魅力的だ。

 ガンボアほどではないが相当スピードもあるし、体重を上げたことで全体のバランスも良くなったと思う。アマのころは、思い切り踏み込みながら左右のワンツーを打つとよくつんのめり気味に体が流れていて、なんだか下半身が安定していない様な印象を受けた事もあったが、このムカマジャロヴ戦ではそれを感じなかった。

 相手にクリンチが多かったため、特に後半、やや試合のテンポがギクシャクしていたのは残念だったし、19敗もしている専業かませなのだからすっきりと倒して欲しいという気持ちもあったが、ポテンシャルの高さは十分に感じられた試合だった。

 体格面で完全に馴染んだ上でパワーが付いてくれば、バンタム級近辺では出色の速さを武器に、かなり強いボクサーになるはずだ。亡命した中では一番急激にウェイトを上げているので(なにしろ、昨年の秋にはまだライトフライ級で試合をしていて、つまり、半年で7キロ近く上げているのだ)、このボクサーは多少時間をかけてもやむを得ないだろう。

 バルテレミは6月のトルコ・アンカラ興業が今のところ最後で、7月のハンブルグには出ていないから、9月の次戦(3戦目)でどう変わっているかに注目したい。

《「キューバ勢ウオッチ」おわり》

※上記の試合は全てYoutubeでも見ることができます。興味を持たれた方はアルファベットで検索してみることをおすすめします。


▽バックナンバー
#004 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の前編】
#003 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の後編】
#002 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の前編】
#001 はじめに


■レイ オオヒナタ
19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
カサマヨルも含めてキューバ勢はプロに転向すると、なぜ急激にウエイトアップするのですかねえ。筋力のアップというより、ただの増量でパフォーマンスもアマ時代に比べてかなり落ちているように見えるのですが。
拳霊
2007/08/10 12:33
国じたいが遠からず変ぼうを遂げそうなキューバ。来年はオリンピック。“拳情”はどう準じていくのか……。

これからも毛色の違う“何か”を発信できると思います。みなさんよろしくお見知りおき願います。
m(_ _)m
Inoue
2007/08/13 13:03
>拳雲 さん

亡命したボクサーは、アマでの階級では元々かなり減量がきつかった選手が多いようです。
カサマヨルは明確にそれを言っていました。
かれはアマ時代に比べてスタイルも変わって、大分スピードが落ちましたが、ルールがかなり違う畑に行く以上、まぁ。やむを得ないのではないかと感じています。
アマのパフォーマンスは、あのルールだから
成立している所もありますし。
バルテレミ、ガンボアに関しては、今のところ、増量はマイナスになっていないように見えます(ただ、二人とも、ライト級、Sバンタムムがベストかは未知数)。
ソリスはもうちょっと絞りたいですね。
レイ・オオヒナタ
2007/08/20 04:00

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