|
――モニタの片隅からセカイを覗く―― ※バナー作成中 皆様こんにちは。オオヒナタです。本日の更新は、まじめに(?)、観戦レポをUPしたいと思います。 過ぎ去った暑い8月に行われたドイツ興行より、2試合をチョイス――。 8月のドイツでは、2大有力プロモーターであるWilfried Sauerland とUniversum Box Promotionがそれぞれ興行を打っていたが、注目すべきは18日に行われた前者の方。 メインにIBFミドル級チャンピオン、アルトゥーロ・アブラハムの防衛戦が組まれていた。 対立王者たちと違い、かなり荒っぽい試合をこなしているアブラハムは、合衆国で「滋味深い」防衛戦を繰り返すWBC、WBOのジャメイン・テイラー、ドイツで同じく「滋味深い」防衛戦を長々と繰り広げそうな予感がたっぷりのWBAフェリックス・シュトルムよりも、個人的に見る気を起こさせる王者だ。 統一戦にも否定的でない見解を示していただけに、5度目の防衛戦であるこの試合の仕上がりには注目していた。 そしてアンダーカードから取り上げるもう一試合(次回、後編にて)は、クルーザー級の10回戦。前回までで紹介したソリスたちと同じ亡命キューバ人である、ヨアン・パブロ・エルナンデスのプロ転向12戦目だ。 これは個人的な趣味、プロ転向したキューバ勢ウォッチングの一環と捉えてもらいたい。 ◆Aug.18 2007@Max Schmeling Halle, Prenzlauer Berg, Berlin, Germany IBFミドル級タイトルマッチ12回戦 ○ アルトゥーロ・アブラハム(72.5キロ)/24-0, 19KO ――KO 11R time:2:41―― × コレン・ ゲボル(72.5キロ)/27-3-0, 15KO プロモーター:Wilfried Sauerland : Sauerland Event TV放映:ARD Sport1 HU 昨年9月、指名戦だったミランダとの荒れた試合中に砕かれた顎が完治し、復帰戦として行った5月の防衛戦では経験不足のカナダ人を一蹴したアブラハム。 今回の相手は同じアルメニア出身のコレン・ゲボルで、打ち合いを好む積極的でタフなインファイター。 なぜロナルド・ライト、ハビエル・カスティジェホ、サム・ソリマンらを抑えてIBFランキング4位にいるのかは理解し難いが、スタイル的にアブラハムにとっては噛み合うため、派手な打撃戦が期待されていた。 ◆漫画のようなKO 結果は、予想通り序盤からフル回転で両者が打ち合った末、11回終盤にアブラハムが右ストレートからの返しの左フック(これがカウンターでモロにチンに入った)で実に印象的なKO勝利を飾った。 首がはじけるように捻れ、膝からガクンとまっすぐ垂直に崩れ落ちたゲボルの失神の仕方、倒れ方はほとんど漫画の1シーンであるかのようだった。 始めから終わりまで何発も被弾しながら休まず前に出続けた挑戦者の気迫は讃えるべきもので、見応えのある試合内容だった事は間違いない。 しかし、実質はアブラハムのパワーボクシングが終始圧倒的に優位で、競った内容とまでは言えなかった。 ぼくは1回を見終わった段階で、後半にアブラハムがKOするか、あるいは、またいつもの如くにスタミナ難と甚だしい攻防分離とが原因で結局は倒しきれず、大差の判定で勝ちを持って行く流れが容易に想像できた。 挑戦者ゲボルは、手数が多くて積極的なのはいいが、どうにもパンチが慌て打ち、かつ手打ちすぎる。角度も悪いし、オープンブローも多く、コンビネーションを打つタイミングもほとんど一定。 これでは、攻めるとき以外、顎を中心にガチガチにガードを固めて下がるアブラハムを崩すことはできない。 そして何よりもパワー差がいちばん大きかった。 手数と攻勢は常にゲボルが先手を確保し、上回っていたが、ときおりアブラハムが低い姿勢で頭から突っみつつ振り回す左右のボディフック、唐突に打ち抜く右ストレート、そこからの返しの左フックが持つ威力、ダメージ、見栄えは、数こそ少ないが、挑戦者の慌ただしい連打とは比較にならなかった。 鈍器をブン回すかのような重いブローは荒っぽいが独特の迫力があり、数発で形勢を一気に変える。 非常にモーションが大きくて(いつ打つかはっきりわかる)打ち終わりには体が流れるし、ガードもかなり下がり気味だから隙は大きいのだが、あの連打中の圧力を前にして、冷静にカウンターを打てるボクサーが多いとは思えない。 今回は左ジャブをからめたアウトボックスをつなぎにして、守るときはガードを固めて下がりっぱなしになることが多かった以前よりも、攻防が分離しなくなってきたようにも見えたし、アブラハムは防衛を重ねて明らかに良くなってきている。 ◆アメリカへ・・・ 今後の予定として、かれは以前より更にはっきりとアメリカでの試合や統一戦を考えていると口にしているのだが、あのスタイルならテイラーよりはむしろケリー・パブリックやライトと当てた方がより刺激的な試合になるはずだ。 テイラーでは、距離とスピードの差などに起因するお互いのテンポの違いから、噛み合わないクリンチ合戦に終始する可能性も低くはない(もっとひどいのは当然シュトルム戦で、できる限り観たくない。確実に凡戦になる)。 ライトの卓越した技巧、パブリックとの力と力のぶつかり合いにはいずれも興をそそられるが、やはりベタな意味では後者への期待が上回る。 ノンストップで打ちまくる強打のパブリックに対しても、あの攻防分離スタイルでペースを獲っていけるのか? パブリックにKOされたミランダと同じく、気が付いてみたら打たれっぱなしになっているのか? しかし、とりあえずはライトを挑戦者に迎えてアメリカで防衛戦をやるというのが、ドイツから乗り込んでいくには一番手っ取り早いプランだろう(ライトがやりたがるかどうかは置いておくとして)。 欧州の王者陣営は特に、どうでもいい相手で防衛回数を伸ばすような行為を好むが、アブラハムにはそのルートを辿っていってほしくないものだ。 ……つづく ▽バックナンバー #006 キューバ勢ウオッチ【亡命事件の顛末】 #005 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の後編】 #004 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の前編】 #003 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の後編】 #002 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の前編】 #001 はじめに ■レイ オオヒナタ 19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。 |
| << 前記事(2007/09/04) | トップへ | 後記事(2007/09/06)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/09/04) | トップへ | 後記事(2007/09/06)>> |