あしボク編集Blog

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS On Boxing@PC #024

<<   作成日時 : 2008/05/12 03:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

おおひなた れいの《On Boxing@PC》
――モニタの片隅からセカイを覗く――

※バナー作成中


#024 キール(ドイツ)興行より


 みなさんこんにちは。珍しく連チャン更新、気になる亡命キューバ人選手の一戦です。


エルナンデス、激しい打ち合いの末、逆転KO負け

◆Mar.29 2008@シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州キール(ドイツ)
会場:Sparkassen-Arena
プロモーター:Wilfried Sauerland : Sauerland Event
テレビ放映:ARD


WBA Fedelatin、WBC Latino クルーザー級タイトルマッチ12回戦
○ ウェイン・ブレイスウェイト(90.00 キロ)/22-3-0, 18KO
 ―― TKO 3R time: 1:52――
× ヨアン・パブロ・エルナンデス(89.00 キロ)/14-0-0, 8KO
(ブレイスウェイト、1回に1ダウン,エルナンデス、3Rに3ダウン)


 この連載でクルーザー級が扱われることが「比較的」多い理由の一つ、亡命キューバ人の同階級ホープ、エルナンデスの大きなテストマッチが先月末に行われた。3月の本連載記事でもこれは予告しておいたので、覚えてくれている読者もいるかもしれない。

 ブレイスウェイトは、やや小柄だが巧さを兼ね備えたハードパンチャーで売り出していた元WBCクルーザー級王者。

 5年半前に、空位の同タイトルをビセンテ・カンタトーレと争って王座を得たガイアナ出身のベテランだ(ちなみに、その王座はフアン・カルロス・ゴメスが長く防衛しており、ヘビー級進出に際して返上したために空位になった)。

 3度の防衛を果たすが、2005年4月にジャン・マルク・モルメクとの王座統一戦に敗れてタイトルを失ったのがツキの落ちはじめ。

 その後はギジェルモ・ジョーンズに挑戦者決定戦でKOされたり、昨年の7月にエンゾ・マカリネリの持つWBOクルーザー級タイトルに挑戦して大差判定負けを食らったりと、下降線にあることは否めない印象をファンに与えている。

 名前のある元王者を踏み台にして、順調に勝ち星を積み重ねてきたエルナンデス陣営はさらなる飛躍をはかろうとしたわけだが、ダウン応酬の激しい打ち合いの末にその思惑は打ち砕かれてしまった。

 非常にいい試合だったし紙一重だった部分も大きかったが、王座を狙うにはやはりエルナンデスにはまだ足りない部分が多い。それを改めて思わされた。

 開始早々から、体格と馬力で勝るエルナンデスは積極的に連打でプレッシャーをかけ、ブレイスウェイトをコーナーやロープに詰めてラッシュをかける。



 右フックから左ストレートで吹っ飛ばし、左右のボディアッパーから上へ、左右ストレートからボディへつなぐ連打はこれまでよりも滑らかで力強い。

 スピードも充分だし、打ち終わりの隙も減っている。反撃に備え、連打したあとはすぐさまガードに戻す姿勢に、この試合に臨むにあたってなにを注意すべきかをよく検討したうえでトレーニングを積んできたことが伺える。

 ブレイスウェイトも硬いガードでなかなか有効打を通さず、攻勢を受け流すが、リング中央に仕切りなおしたあと、
接近戦から体勢を下げて右ジャブをかわそうとしたところに上下のパンチを食らってバランスを崩し、そのままアッパーに突き倒されるように派手に尻餅をついてダウン。

 ダメージはほとんどないようだが、その後も、エルナンデスの連打で足元のバランスが怪しくなって(ダウンした際に傷めたようにも見えた)再びロープまで追いまくられるなど、強引な突進に押されぎみで1Rを終えた。ゴングと同時に右アッパーが軽くヒットするなど、初回は完全にエルナンデスの先制攻撃が成功した。

 2Rもエルナンデスのジャブからのワンツーをメインで押し込む攻勢は続いたが、ブレイスウェイトも徐々に動きを読んできたようで、ガードをかためながら、左右の強いストレートを打ち込んで攻め手を強めていく。

 それに対してエルナンデスも後退しながら的確なアッパーからのカウンターを入れる場面もあり、激しい打撃戦が展開されていた。しかし勝負の決定打はこの回終了5秒前、ブレイスウェイトが打ち込んだショートの右ストレート。
これがカウンターでまともにエルナンデスのアゴをとらえる。

 その一発で足にきてよろめいたエルナンデスは、ゴングが鳴るまでそのまま打ち合いに応じたものの、相打ちも含めて追加で二発の右を顔面にもらい、大きなダメージを受けた。

 結局、これが致命打になり、ダメージが抜けないまま3Rも打ち合いにいったエルナンデスは、雑になってガードが空き気味になったところに接近戦からまた右のカウンターを被弾し、ダウンを喫してしまう。

 このダウンはすでに決定的なもので、足にきてフラフラと立ち上がっている状態のエルナンデスを、さらに2度もダウンするまでストップせずに続行させたレフェリーのホセ・マルティネスの判断には首をかしげてしまう。

 しかも、マルティネスは1度目のダウンのあと、なんとエルナンデスに手を貸して立ち上がらせようとしているのだ。
ドイツやフランスではときにあっけに取られる怪奇な地元優遇処置を目にするが、それがまたここでも炸裂したというわけだ。

 公平そうに見えて、欧州人の興行主びいきは相変わらず、えげつない(さすがに南米ほどではないが)。

 結果としてはTKO負けで初黒星。キャリア上昇を阻まれたエルナンデスだったが、随所に成長のあとはうかがえた。

 パンチの多彩さやスピードは相手を上回っていたし、先手をとったプレッシャーのかけかたもいい。8回戦でさえない試合をしていた1年前に比べれば格段の進歩だ。

 相変わらず攻め込むときや打ち終わりにガードが空き気味になるところと、体の硬さ、カンの悪さ、反応の鈍さから接近戦での連打の応酬でどうしても後手になりがちな点(今回もその隙間を打ち抜かれた)、そして、予想はされていたが今回の試合ではっきりしたアゴの脆さなど、克服すべき点は多いが、錆びつき気味とはいえ王者クラスの力量を把握したことは今後の糧になるだろう。

 再起戦もすでに6月に用意されている。また着実にキャリアを積み重ねていってほしいものだ。


▽バックナンバー
#023 3.14 バイエルン(ドイツ)興行より 後編
#022 3.14 バイエルン(ドイツ)興行より 前編
#021 2.28 ロンバルディア州ミラノ(イタリア)興行より
#020 1.05&2.22 アメリカ興行より
#019 2.23 ハレ・アン・デア・ザーレ(ドイツ)興行より
#018 12.29 ビーレフェルト(ドイツ)興行より
#017 12.23 ハレ・アン・デア・ザーレ(ドイツ)興行より〜その2
#016 12.23 ハレ・アン・デア・ザーレ(ドイツ)興行より
#015 10.31 プエルトリコ興行より
#014 10.30 ハリウッド(アメリカフロリダ州)興行より
#013 10.27 エルフルト(ドイツ)興行より
#012 10.19 ベルリン(ドイツ)興行より
#011 7.14 ニュータウン(アメリカ)興行より
#010 9.15 ロストック(ドイツ),6.16 ブタペスト(ハンガリー)興行より
#009 9.21 リューベック(ドイツ)興行より
#008 8.18 ベルリン興行より【後編】
#007 8.18 ベルリン興行より【前編】
#006 キューバ勢ウオッチ【亡命事件の顛末】
#005 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の後編】
#004 キューバ勢ウオッチ【ビデオ観戦…の前編】
#003 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の後編】
#002 キューバ勢ウオッチ【前フリ…の前編】
#001 はじめに


■おおひなた れい
19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文