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help リーダーに追加 RSS ソリスvs.ボタへの軌跡【On Boxing@PC #028】

<<   作成日時 : 2008/07/07 19:00   >>

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おおひなた れいの《On Boxing@PC》
――モニタの片隅からセカイを覗く――

※バナー作成中


#028 4/26 Trabzon(トルコ)興行より 


 こんにちは、おおひなたです。この原稿を送信したのはまだぎりぎりで6月でしたが、掲載されるのは7月になっていることでしょう。

 またまた1カ月半もの間が空いてしまいましたが、おまけに4月末の試合の話なんかあったりして、ナンなの一体って感じですが、なにせリアル世界の雑事が思ったより忙しい次第でして・・。

 いやぁ、ホントーに資本主義はキビシー! でも次回送稿は7月半ばですよ、ええ、ほんとに! ほんとに!

ソリスvs.ボタへの軌跡

◆Apr.26 2008@Trabzon(トルコ)
会場:Spor Salonu
プロモーター:Ahmet Oener, Arena Box-Promotion
テレビ放映:DSF、Secondouts.com


ヘビー級8回戦
○ オドラニエル・ソリス(114.80キロ)/8-0-0, 5KO
 ――KO 2R(time: 1:34)――
× Mamuka Jikurashvili(106.40キロ)/20-0-0, 14KO






 アテネ五輪金メダリストの亡命キューバ人たちがデビューして早くも1年が経過した。

 3人のうち今のところもっとも成功を収めたのは、HBOアフターダークへのデビューも果たし最重要ホープと認知されたスーパーフェザー級のユリオルキス・ガンボアだが、ヘビー級のオドラニエル・ソリス、バンタム級のヤン・バルテレミも着実に地歩を固めている。

 ソリスは、デビュー戦あたりの鮮烈な印象からすればやや地味な存在になってしまっているが、現状のヘビー級では屈指のテクニックと慎重さを武器に、今後も、恐らくもっとも堅実に勝ち上がっていくことが予想される。

 ここで取り上げているトルコ、Trabzon興行での試合は、紆余曲折を経て7月4日に決定した、同じくトルコのアンカラで行われるフランソワ・ボタ戦への調整とも位置づけられるもので、相手は無敗の若いグルジア人。

 無敗とは言っても、これまでの試合は全てグルジア国内で行われたものだ。レコードには、日本のあの某兄弟の「無敗」と同じく、記録上という意味を超えたものはない。

 そんなハリボテの全勝男をソリスはあっさりと2Rで打ち砕き、自らの記録をひとつ進めた。

 とても全勝とは思えないドタバタした動きの相手に正面から打ち合い、ボディで都合3度ダウンを奪う圧勝。最初から早めに決めようと思っていたらしく、珍しくガードも低めで積極的に攻勢をしかけていた。

 そのせいか、ややバランスが悪く荒っぽい動きが多少気にはなったが、がむしゃらに来る相手を強引にねじ伏せるソリスを見るのは新鮮だった。

 特に、以前から集中的に強化していると思われるボディストレートは、カウンターで多様するショートアッパーと並び、ジャバーではないソリスの主武器になってきた。

 ヘビー級としては小柄で本来のフレームより大幅に増量しているソリスの場合、上位陣相手に今回のような戦法をとるのは危険だが、3月のシセ・サリフ戦のように相手がハードヒッターなら極端に慎重にもなれることは証明済み。

 もともと、この選手は肉体の能力としてはもう完成されていると言っていい。あとはその個々のスキルをどうプロ仕様に統合させ、先方として組み立て、慣らして行くか。

 そして相手によって応用していくかだが、戦法の幅は一戦ごとに増してきている。仕上がり具合は順調のようだ。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 その後、6月7日にドイツのヘッセン州で行われた試合も悠々とクリアしたソリスは、現在、7月4日のボタ戦に向けてトレーニングキャンプに入っている模様である・・・・が、試合は行われていない。

 ボタ戦といえば、この連載でも触れた通り昨年末に一度流れたあと、さらにトルコ興行が決まるまでになんと二度も延期になっているのだ。

 その経過は今後のソリスや亡命組の興行にも関わってくる事柄なので、少し経過を書いておくことにする。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 まず、年末にいったんご破算になったあとの再交渉で、陣営はボタとの試合を5月17日のHBOアフターダークにもってくる予定だったらしい。

 その興行はユリオルキス・ガンボアとのWメインとして、ソリスのアメリカデビュー戦も兼ねているはず・・・・だった! HBOでのWメイン、相手がボタとなれば「キューバのゴールデンメダリスト、新鋭ヘビーウェイトがアメリカ上陸」としてアピールするには最適だろう。

 しかし、なんらからの理由でソリスが米国に滞在するビザは今(6月24日現在)もって受理・発行されていない。

 そのため、17日のHBOアフターダークはデビューそのものがおじゃんになり、ユリオルキス・ガンボアが単独でメインを務める結果になった。

 その後、ソリスのプロモーターであるアフメト・オネル率いるアリーナ・ボックスは、6月の27日にも、「ESPNフライデーナイトファイト」の枠で亡命キューバ人3人をトリプルメインに据え、「トリプル・オリンピアン」と銘打った上陸計画を企てたのだが、これまたビザの問題でソリスは登場が適わない事体になっている。

 さらにもう少し付け加えると、5月17日のHBOがダメになると分かったアリーナ・ボックスは、6月27日のESPNで「トリプル・オリンピアン」を企画する以前は、5月30日にスペイン・ビルバオで行われる興行のメインとしてソリスーボタを発表していた(メディアにボターソリス戦が再びまとまった、と正式発表されたのはこのビルバオ興行が初で、HBOアフターダークには相手が発表されないままソリスのキャンセルが伝えられたが、まず間違いなく予定されていた相手はボタだったのだろう)。

 ESPNの枠にソリスが間に合いそうだと思われた途端、その計画はすぐに横滑りしたというわけだ。

 そりゃあスペインの田舎興行なんかよりは、伝統あるフライデーナイトファイトでやった方が、何倍もましだ。もったいない。

 だが結果としては、すったもんだでビザの問題が単なる皮算用に終わり、米国上陸は完全に据え置き。

 流れ流れたボターソリスの顛末は、トルコ興行、すなわちシナン・サミル・サムの欧州ヘビー級タイトルマッチのアンダーに落ち着いたというわけである。


 個人的にはここまでして老いたボタに固執しなくても・・・と思うわけだが、まあ、久しぶりにボタをボクシングのリングで、それも対ソリスで観るのも一興か。

 しかし問題なのはボタがどうこうというよりは、先ほども書いたとおり、こじれた理由であるアメリカ合衆国のビザ発給拒否である。

 同じ亡命仲間のガンボアやヤン・バルテレミが、トラブルなくアメリカで試合をしているというのに、この差は一体なんなのか?

 理由は皆目不明だが、アメリカで試合ができるかできないかでは、世界的な知名度や注目度、相手の選択幅が全く変わる。

 ホームがアメリカである必要はないが、入国もできないのでは話にならない。

「ソリスは落ち着くため、ハンブルグに家を買うことを考えています」などとプロモーターは言っており、ガンボアやバルテレミよりもソリス自身の合衆国志向は薄そうで、かつまたその戦闘スタイルも合衆国よりは明らかに欧州人好みのスマートさではあるのだ。

 が! やはりヘビー級たるもの、米国で堂々と存在を誇示して欲しいじゃないか。

 先行きがどうなるかは全く不明だが、年内にはアメリカに乗り込んで欲しいと切に願う次第だ。


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■おおひなた れい
19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。

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