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zoom RSS 酔いどれ前のひとりごと vol.105 粟生が逃したチャンス

<<   作成日時 : 2008/10/20 21:40   >>

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vol.105 粟生が逃したチャンス


 粟生隆寛、長谷川穂積の試合を見た。

 ダウンを奪って歓喜のポーズで、しかし攻めが続かず勝ちを逸した粟生と、ダウンを奪って冷静に、そしてすかさず畳みかけてレフェリーストップを呼び込んだ長谷川。相手に与えたダメージは粟生のほうが大きかったように見えたのに、勝負はわからないものだ。

 チャンスに後ろ髪はないというきまり文句が浮かぶいっぽうで、メンタル・トレーニングは両選手、どんなふうなのか覗いてみたくもなった。

 日本人選手が試合中にオーバーアクションをするようになったのは、1980年前後に現れたアメリカのシュガー・レイ・レナードの影響だと僕はにらんでいる。そのレナードはご存じモハメド・アリを真似たのは明らかで、メディアの発達とともにショーアップの要素も求められるようになった。

画像 このところの日本人ボクサーは、レナードを真似た辰吉丈一郎に刺激されている選手が多いと、あくまでオーバーアクションに限っての話で、僕は思っている。

 ダウンを取ったら、今回の粟生のように鬼の首でもとったように拳をあげたり、あるいは無意味なステップを踏んでみたり、ラウンドが終わるたびにグローブをかかげて攻勢をアピールしたりするボクサーが…殊に才能豊かに見えるボクサーに多く見られるようになった。

 お客は喜ぶし自身の士気も高まるだろう。が、まだ勝負はついていないのである。アクションがしたいのなら勝ってから存分にすればいいことで、途中でそんなことをやっているとスキが生じる選手のほうが多いように思う。

 理屈ではない。試合中のオーバーアクションは行儀が悪いと、まわりが一喝してやれば、勝てる試合をおとすことが減るのではないか。

 ついでながら、今回の粟生は惜敗で、だからこそ次は世界王者、という期待を誰もが抱くはず。けれども、ここがまた危ないところで、惜敗のあとには完敗があるということを警戒してほしい。

 ジョニー・ファメションとやったファイティング原田、エルビト・サラバリアとやった花形進、ついに世界は獲れなかったがジェフ・チャンドラーとやった村田英次郎。いずれも勝っていたんじゃないか、或いは《あと一歩》のところだったという試合のあとに、同じ相手に完敗を喫している。

 ピンチのあとにはチャンスというが、チャンスのそばにピンチがあるのもしかり。

 長谷川はインタビューのせりふまで完全だった。

 粟生は4ラウンドまでの戦いぶりに勇敢の気を僕は見たので、思いつくまま書いてみた。


▽バックナンバー
vol.104 がれき
vol.103 大場政夫の強さについて
vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
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vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
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vol.89 重箱のスミ〜2006年12月号
vol.88 重箱のスミ〜2006年11月号
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vol.84 重箱のスミ〜2006年9月号
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vol.82 重箱のスミ〜2006年8月号
vol.81 拳聖ふたたび
vol.80 重箱のスミ〜2006年7月号
vol.79 重箱のスミ〜2006年6月号
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vol.77 重箱のスミ〜2006年4月号
vol.76 重箱のスミ〜2006年3月号
vol.75 悪いのはだれだ? おれだ…
vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ〜2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ〜2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン〜もちろん架空〜エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

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コメント(5件)

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個人的にはこの試合の粟生はオーバーアクションと言える様な行動はしてないと思います。ダウンを奪った後のシーンしか、そういうのの記憶はないです。まぁアクションやセルフプロデュースや露出などなど、大歓迎の立場であるのですが。やる選手もいてやらない選手もいて、他にも色んな選手がいてこそ面白いです。

結果はやっぱ実力だと思います。勿論ベストの戦術を選択してれば勝ってたでしょう、ベターでも多分。でもそれを出来なかったのは彼のスタイルや実力に奥行きがなかったからだと思う。5R以降に長いジャブからワンツーを連ねていけばポイントを奪取できたが、彼はジャブが下手ですから。

ラリオスのボディーブローは効きましたね、如何にもって言うパワーショットを打ち込んでたし、あれを食らってたら効いてくるのは当然。ラリオスはあそこで名王者たる所以をまじまじと見せました。でもあの衰え具合は深刻、次で陥落でしょうね・・・。勿論その衰えには粟生に手酷く攻撃を食らった事による心理的な物、と言うのは大きいでしょう。
bc
2008/10/20 23:12
ダウンを取って歓喜する選手と、ダウンを取っても(さらに言えば勝利しても)落ち着き放った態度を見せる選手、
先日の二人を比較してしまうと、後者の方にアスリートとしての格を感じてしまいました。
ヤンキー臭の抜けない日本人ボクサーが多い中で、長谷川選手の立ち振る舞いはトップアスリートと呼べる域に到達しているように思います。

そういえば、かつての長髪の有名ボクサーがグローブで頻繁に髪をかき上げる動作が勝負に隙を与えているようで、無駄に見えて仕方がありませんでした。
べっく
2008/10/21 07:19
借敗の後に完敗あり。全く、仰る通りだと思います。ダウンを奪ったあと、何故手数が減ったのか?何故細かい連打が出なかったのか?あれ程の大チャンスを物に出来なかった事に正直、ガッカリしました。再戦したら、ラリオスに油断無く責められて完敗でしょう。粟生選手は完敗と受け止めて、世界ランカーとバシバシ闘って実力を高めて再挑戦して欲しいです。
sorahoohuku
2008/10/21 11:58
ラリオスとここまで頑張れたということを過信でなく自信に変えて欲しい。
雷神
2008/10/21 13:05
惜敗のあとの完敗、イラリオ・サパタとやった友利正もそうだったな。
梶が谷
2008/10/22 00:46

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