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zoom RSS 酔いどれ前のひとりごと vol.106 粟生で思い出した「女神の機嫌」

<<   作成日時 : 2008/10/22 17:30   >>

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vol.106 粟生で思い出した「女神の機嫌」


 惜敗した粟生隆寛のことで思うことを書きました。コメントもいただきありがとうございます。もうちょい、ささいなことを足します―――。


 2000年3月の、WBA世界ライト級タイトルマッチ。坂本博之がヒルベルト・セラノ戦でダウンを奪って、ついに王者か! という瞬間がありました。

 坂本はルール通りニュートラルコーナーにさがって試合再開を待ち、青コーナーにむかって余裕の表情を見せた。おそらくコーナーからは落ち着けとかチャンスだどんどん行けとか小さく打てとか、的確な指示がされて坂本もそれがよくわかったんだと思う。

 けど、なんだか知らないんだが、あのときの、コーナーを見る坂本の顔つきが、あのあと、誰かが何かのチャンスを逸するたびに、ときどき僕の中に出てくる。

 べつだん坂本の態度が悪かったり間違っていたりしていたわけじゃない。今がどういう状況なのか、どうすればいいのか、坂本はよくわかっていたはずで、一番の選択をして行動をして、残念ながら時を失い敗れたという、そういうことだったんだろうと、思う。

 だけどだけど、あのとき坂本がコーナーを見るのはいい、なんらかの指示にうなずくのもいい。いいけれども、そんなのはコンマ何秒でいい。とどめをさしに行くために・・・ああ、なんと言えばいいんだろう、ひとり静かに相手を見て自分を見てボクシングを見て、うーん、世界平和を願うっていうか、なんで、世界平和なんだよって、そう、そうなんだけども、ぴたりの言葉がないのよ。

 つまりは、おれっちよりも遥かに上にいるんだからさ、リングのボクサーってのはさ、だからおれっちが思いもしない境地にあるっていう、そういうことが世界平和ってことに、まあ、しておいてくんなまし。

《この試合はもらった》という気持のスキが、あそこに、坂本がセラノをぶっ倒した瞬間に坂本に生じたんじゃないか。それがコーナーを見る顔つきになり、また彼を応援する多くの人(わちきももちろんはいってる)にも、よっしゃ勝ったぜ、というスキが生まれたんじゃないか。

 好機に喜ぶのは自然のことじゃないか、それにさあ、観客の思いと勝敗とは関係ねーだろ、なーんて言うなかれ。

 阪神応援団を見よ、Jリーグサポーターを見よ。それらすべてを、勝負の女神はどこか冷たい目で見ていて、ぎりぎりのところの一瞬に、機嫌が良くなったり悪くなったりする、ような気がするのだ。

 勝敗をつかさどるのは神で(ということにしておいて)、それは女で、でも神さまの女だから、地上の女とはわけがちがうとは思うけど、とにかく女ということになっている。

 わが身のつたない経験からいくと、女は身勝手である、薄情である、腹黒い、意地が悪い、好き嫌いに理由がない、あとはバカだのケチだのウソつきだの、これまでの怨みつらみをこめれば、いくらでもあげられるが・・・そうなった原因はおれっちにあるんだけれども、いかんせん、「女」に好かれないことには勝負が苦しくなる。

 けれど、じゃ、どういうものがお気に召すのか、つまらねえ、ふざけた野郎がいやにモテたりするのに、おれっちみたいな勤勉で誠実な男がまるで相手にされないというように、これがとんとわからない。

・・・つづく


▽バックナンバー
vol.105 粟生が逃したチャンス
vol.104 がれき
vol.103 大場政夫の強さについて
vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
vol.95 追放
vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
vol.90 ロッカールーム
vol.89 重箱のスミ〜2006年12月号
vol.88 重箱のスミ〜2006年11月号
vol.87 アウトがセーフ
vol.86 重箱のスミ〜2006年10月号
vol.85 ラウンドガールは飯島愛
vol.84 重箱のスミ〜2006年9月号
vol.83 夢の始まりは…
vol.82 重箱のスミ〜2006年8月号
vol.81 拳聖ふたたび
vol.80 重箱のスミ〜2006年7月号
vol.79 重箱のスミ〜2006年6月号
vol.78 重箱のスミ〜2006年5月号
vol.77 重箱のスミ〜2006年4月号
vol.76 重箱のスミ〜2006年3月号
vol.75 悪いのはだれだ? おれだ…
vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ〜2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ〜2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン〜もちろん架空〜エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
粟生は万能型だ、いつでも世界を取れる力を証明した・・・・なんぞといった浮かれた批評ばかりだったので、ごくマトモな事を言ってくれたあしボクさんには今後もビシバシと厳しいことを言ってもらいたいです。ラリオス陥落後の世界のフェザー級は甘くない。もしかしたら将来、「あの時粟生の逃したものは余りにも大きかった」と評価される可能性は決して低くはないと思いますよ・・・(それでもこの予想は覆して欲しいものだが)
元練習生
2008/10/22 19:17
正直、気持ち悪いです。

訓練されたボクサーが、ダウン後にセコンドを見て冷静な表情をするのは普通のことじゃないですか。そこに無理矢理意味を見いだして、結果論を展開するのはあまりに安いのでは。

さらに、あなたの身勝手なロマンティシズムというか思い込みは、坂本選手の激闘だけでなく、女性の人間性も汚してますよ。

勝利の女神と現代女性の気持ちは全く違いますから。そういう独りよがりの被害者妄想が秋葉の事件を生むんじゃないですか。

酔いどれ前の一言でも、それがせっかく築き上げたこの場の品位を一気に落としてしまうことを自覚してください。
石原
2008/10/23 02:28
秋葉原の事件は関係ないと思うが…。
良純
2008/10/23 14:13

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