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zoom RSS 大晦日の横浜文化体育館・W世界戦 【酔いどれ前のひとりごと vol.133】

<<   作成日時 : 2012/01/24 02:40   >>

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vol.133 大晦日の横浜文化体育館・W世界戦


 リングに近い席ではあったが、二列前に座る人の頭が邪魔で仕方がなかった。世の中にこんなに頭のでかい人間がいるんだろうか。突然の日食に遭遇した気分で、その頭に阻まれて、光あふれるリングが思うように見られない。

 会場の大型スクリーンはクリーンな映像を出しているけれど、値打ちは眼前のリングに及ばない。

画像 フラストレーション多い観戦になったが、ホルヘ・ソリスを沈めた内山高志は盤石だった。

 きっちり仕留めて、場内は沸きかえった。しかし僕はその最後の左ブローを右ブローと見誤るザマだった。


 その前の「セレスティノ・カバジェロ×細野悟」戦は、日本人ファイターがボクサーファイターの西洋人に翻弄される、見なれた展開だった。勝者は強かった巧かった、敗者は健闘した――そんなお定まりを繰り返しながら、日本人はいつまでこんな試合を続けるんだろう。

 カバジェロがパナマ人だったせいか、僕は退屈しのぎにイラリオ・サパタを思い出していた。遠い昔のボクサーではあるけれど、僕には昔のボクサー、今のボクサーという区別はほとんどない。

 日本人はついに彼に勝てなかった。判定で敗れ、再戦すればKOされた。

 そんなセオリーを壊したのは韓国の張正九だった。判定で敗れたが再戦では3ラウンドにギブアップさせた。なぜ張はサパタに勝てたのか。

 マッチメイクがどうだ技術がどうだ根性がどうだ、いろいろあるだろけど、もっと簡単に考えてみる。誰の試合でもいい、KOでも判定でもいい。わかりやすいから、世界奪取の試合、奪取できなかった試合を注意して見てみれば、なぜ勝ったか、勝てなかったか、見えてくる。時にミスマッチや疑惑もあるけどさ。

 勝負の分かれ目は、簡単なんだ。待つか待たないか、それだけ。

 攻めこんでいっても、かわされたり、打たれたり、それでどうしようかって思うようになって、知らず知らず待ってしまう。と、そこへまたパンチを浴びて、しかし攻めるしかないと前へ出て、かわされて、いなされて、打たれて、だからまた立ち止まって、この一発が当たれば相手は倒れるなんて。そりゃそうでしょう、当たれば。

 だけど相手のステップを許しているうちは絶対に当たらない。また打たれて、ほかにスベがないから仕方なく向かっていって、当たらず当てられ、迷い考えているうちにおしまいになる。ハタメには攻めているように見えても、パンチが当たらないと、けっこう待ってしまうんだよね。

 観客のほうもよく知っている。世界奪取の試合って、待ちがなくて、自然に行け行けって気持ちになるもの。運の善し悪しなんてない、そういうもんだべ、ボクシングは。

 事を成そうとするなら、なりふりかまわず、どんどん待たずに行く。おおかたの人のおおかたの人生と同じで、そういう単純なことが実はできないんだけどさ・・・・なあんて、ほざいたら叱られちゃうなあ。内山のフィニッシュブローもわからない奴に何がわかるか。

 でもなあ、やっぱり失敗もあるけど、舞台に立つほどのボクサーなら、勝つためにも行くっきゃないし、待たずに行けるだけの力量を備えて、待たずに行ってほしいよ、ボクシングのためにも。


▽バックナンバー
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vol.131 女あるじ
vol.130 オールド・ファッション・ボクシング〜12
vol.129 ストレート・フェチ
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vol.127 いやんなっちゃうぜ
vol.126 ハグラーvs.レナード――強者と勝者
vol.125 モハメド・アリ最高試合
vol.124 敗者の残像
vol.123 稀代のボクサー
vol.122 デュランvs.レナードと、六月の雨
vol.121 オールド・ファッション・ボクシング〜11
vol.120 オールド・ファッション・ボクシング〜10
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vol.118 オールド・ファッション・ボクシング〜9
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vol.111 オールド・ファッション・ボクシング〜3
vol.110 世界を制する左を
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vol.107 粟生惜敗で思い出す「女神」…つづき
vol.106 粟生で思い出した「女神の機嫌」
vol.105 粟生が逃したチャンス
vol.104 がれき
vol.103 大場政夫の強さについて
vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
vol.95 追放
vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
vol.90 ロッカールーム
vol.89 重箱のスミ〜2006年12月号
vol.88 重箱のスミ〜2006年11月号
vol.87 アウトがセーフ
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vol.84 重箱のスミ〜2006年9月号
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vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ〜2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ〜2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン〜もちろん架空〜エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。



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内 容 ニックネーム/日時
やみくもに前進している、攻めているようで、
実は「待っている」…なかなか深いお言葉でした。
何か「ことが起きる」のを「待っている」だけというのも含まれているのかな、なんて勝手に解釈してしまいました。
CQ
2012/01/24 20:35

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