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zoom RSS 怖さと切なさと輝きと 【酔いどれ前のひとりごと vol.141】

<<   作成日時 : 2013/12/24 12:40   >>

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vol.141 怖さと切なさと輝きと


 1993年7月、佐藤仁徳は朴政吾に2回TKOで敗れた。世界ランカー相手に初回はKO決着を予感させる出来映えだったが、あっという間の逆転劇に、佐藤サイドの技術の未熟や駆け引きの甘さはあったかもしれないけれど、僕はボクシングの深い淵を見た思いだった。

 1992年6月、ウンベルト・ゴンサレスに挑んだオリンピック金メダリスト金光善は善戦むなしく12回TKOに散った。どちらを応援していたわけではない。むしろ挑戦者に思い上がりを見て嫌な感じを僕は覚えた。それでも優勢に試合を進める挑戦者が勝利してしかるべきと思っていたのに、女神が微笑んだのは王者のほうだった。結果として天狗の鼻をへし折ってやったように見えたが、勝負の酷薄を感じた。

画像 1987年6月、高橋直人は今里光男を3回KOで返り討ちにして日本バンタム級王座を初防衛した。

 高橋はその前の今里光男第1戦と、翌々年のマーク堀越戦とが年間最高試合に選ばれた名立たるボクサーだが、僕にはこの今里第2戦が最高のファイトだった。

 リングが輝いていた。リズミカルで好戦的なスタイル、当てカンの良さ、攻防の間合い、それらに魅せられているうちに、僕は亡きメキシカン、サルバドル・サンチェスに高橋直人をかさねていた。

 今でも妄想がよぎる。この試合の直後に世界戦をやらせたらどうだったろうって。バンタムでの減量は限界だったようだけれど。

 名勝負やビッグファイトとはまた別に、ボクシングの魅力の一端で、思いつくまま書いた。似たようなタイトルのミリオンヒット曲があったわねえなんて誰かに言われそう。

 ま、いいさ。


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■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。


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