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zoom RSS 2015.12.29 有明コロシアム 【酔いどれ前のひとりごと vol.161】

<<   作成日時 : 2015/12/30 13:10   >>

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vol.161 2015.12.29 有明コロシアム


 会場に入ったのは《細野悟×下田昭文》戦の8ラウンドだった。この試合が実は一番のお目当てというファンも少なからずいて、僕にはもうそんな情熱はなく、そういうファンが羨ましい。

 井上拓真はスピードがありステップも良く、いい選手なのに、僕には両腕のガードの揺れが気になって仕方なかった。上下に小刻みにガードを揺らしながらパンチを繰り出す。あの揺れから放つリードブローはどうなんだろう。手打ちにならないか。相手が入ってこられなくなるビシッとしたリードブローがあれば格段に強くなると、つい評論家をやってしまったダブルメインイベント前のインターバル。

画像 ビートのきいた音楽と、うごめくあまたのサーチライトの中で、選手を待つ空っぽのリングを自由席の高みからぼんやり眺めていたら、なぜかナジーム・ハメドのリングインを思いだす。

 ああハメドのあのトップロープからの反転リングインをじかに見ていたら、きっと生涯忘れぬ愉しい記憶になっただろうと。ラウンドガールの腰つきがマブタに焼きついて、その連想からハメドが出てきたわけじゃあないと思うけど。

 そして八重樫東。どちらがまさっているのか、どつきあいの利はどちらにあるのか、僕にはわからず、モニター画面にも目がいく。終盤になってようやく山がきて、見事三冠達成、八重樫人気もまた高まるだろう。実際、八重樫のインタビュー、素直でしなやかで僕は好きなんだ(ボクシングでなくインタビューをほめてどうすんだ)。

 けど、けどけど……家族が出てきたり恋人が姿を見せたり、ボクサーだって人間だもん、そんな世界があるのはちっともおかしくはない、そうなんだけれど、人情噺はそろそろおしまいにしてもらえないかな、マスコミさん。ひとごとでも、なんだかこっちはこっぱずしくなっちまう。どんな顔すりゃいいのか、どこ向きゃいいのか困っちまう。

 ボクシングの非情や無慈悲を前面に出せとは言わないが、理不尽さを漂わせながら、まれに凄い輝きがあるっていうような、ボクサーの周りではなく、ボクサーとボクシングと、それだけに集中した、そんなテレビを作れないかなあ。

 それにしても井上尚弥は強かった。いかな怪物と騒がれるボクサーでも一年のブランクがありキャリア8戦のまだ22歳。チューンナップをはさまずのいきなりの世界戦はどうなのか。一抹の不安は僕だけだったろうか。終わってみれば破格の強さだった。29年前、マイク・タイソンが世界初挑戦でトレバー・バービックを2Rで粉砕したときと似た感情がわいた。やはりタイソンは強かった。井上尚弥もやはり強かった。

 認定団体が増えて世界王者も世界ランカーも大勢いて、誰が強いのかわからなくなってしまっている状況で、相手の力量がどうあれ、こいつは凄いと思わせるボクサーにはそうそうお目にはかかれない。

 井上尚弥のあの当てカンの良さはいったいなんなんだろう。努力の賜物か天性か。いつ、どこへ、どういうパンチを、どういうふうに打てばいいか、それをきちんと判断できて実行できる。そんなこと、ふつうはあり得ないよなって思いながら、寒い師走の夜は熱く更けていく。


▽バックナンバー
vol.160 女神が仕組んだ試合
vol.159 山中、危なかった
vol.158 グレート金山vs.大蔵秋彦
vol.157 デビュー戦で世界奪取
vol.156 記録と記憶
vol.155 うなりをあげて
vol.154 ドキュメンタリー『NO MAS』
vol.153 アリはなぜフォアマンに勝つことができたのか
vol.152 それでもやる
vol.151 ロベルト・デュラン寸感
vol.150 8度目も強かった
vol.149 丘を越えて
vol.148 幻の一戦
vol.147 2014最高試合
vol.146 八重樫vs.ロマゴン
vol.145 マーベラス
vol.144 輝くリング――2014.4.6
vol.143 ミラクル
vol.142 終わりかた
vol.141 怖さと切なさと輝きと
vol.140 怪物
vol.139 負け知らず
vol.138 神の左
vol.137 「石の拳」一代記!
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vol.131 女あるじ
vol.130 オールド・ファッション・ボクシング〜12
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vol.128 内藤vs.亀田を見て .....
vol.127 いやんなっちゃうぜ
vol.126 ハグラーvs.レナード――強者と勝者
vol.125 モハメド・アリ最高試合
vol.124 敗者の残像
vol.123 稀代のボクサー
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vol.121 オールド・ファッション・ボクシング〜11
vol.120 オールド・ファッション・ボクシング〜10
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vol.118 オールド・ファッション・ボクシング〜9
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vol.116 オールド・ファッション・ボクシング〜7
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vol.112 粟生隆寛、1ラウンドKOを命ず
vol.111 オールド・ファッション・ボクシング〜3
vol.110 世界を制する左を
vol.109 オールド・ファッション・ボクシング〜2
vol.108 オールド・ファッション・ボクシング〜1
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vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
vol.95 追放
vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
vol.90 ロッカールーム
vol.89 重箱のスミ〜2006年12月号
vol.88 重箱のスミ〜2006年11月号
vol.87 アウトがセーフ
vol.86 重箱のスミ〜2006年10月号
vol.85 ラウンドガールは飯島愛
vol.84 重箱のスミ〜2006年9月号
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vol.82 重箱のスミ〜2006年8月号
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vol.80 重箱のスミ〜2006年7月号
vol.79 重箱のスミ〜2006年6月号
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vol.77 重箱のスミ〜2006年4月号
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vol.75 悪いのはだれだ? おれだ…
vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ〜2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ〜2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン〜もちろん架空〜エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.

■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

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