酔いどれ前のひとりごと vol.83 夢の始まりは…

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vol.83 夢の始まりは…


 いやあ、とんだことになりましたなあ。亀田ボクシング、通じませんでしたなあ。判定をめぐって騒ぎになってますが、ボクシングでメシ食ってる人にマイク向けて、アホ、誰がまっとうに言いますか。黒いものを白いと言う、それだけ亀田効果は凄いんですから。

 採点方式がどうだとか、もう一度やって決着つければいいとか、ボクサーに罪はないとか、これ(たぶんアンフェアのことなんだろう)もプロボクシングだとか、マスコミはそんなこと言って、お茶を濁すけれど、まずは亀田は勝ったのか負けたのかってことで、亀田は、ごらんの通り、負けたんですよ。

画像 負けたときは負けにしてやらないと、あとあと本人が大変よ。もう元には戻せないんだけど。

 でね、どうすればいいか考えた。あ、その前にあの試合の、なんか腑に落ちないとこを並べてみると・・・

1.史郎クンがピンポン玉を投げたり、モリを突いたりして、それをよける練習風景がよく見るんだけど、あの成果って試合に出てるんだろうか。
2.試合前の注意でリング中央に両陣営が集まったとき、史郎クンが相手セコンドにどんと当たったように見えて…それが「おい、わかってんだろうな」みたいに見えちゃって、それに妙に注意の時間が短いようだった。
3.判定コールが出る直前の史郎クンの表情、天命を待つ顔って、あんな顔? 結果はわかってるんだが、露骨すぎてヤバイかな、みたいな顔つきにこれまた見えちゃった。
4.試合終了後のランダエタ選手を映さないカメラワーク。なんで? 倒せたのに倒さなかった、試合を通してそんな感じがしたけど…考えすぎかな。

 えっと、それで亀田サイドの今後の対応なんだけど、これはわれながら妙案なんだ。例によって記者会見をする。雑音に対して怒りをこらえにこらえてきた史郎クンも同席する。吠えるよ。

「チャンピオンベルトは返す。WBAには事情を説明して丁重に謝った。いらんわい。こっちが死にもの狂いでようやっとつかんだベルトや。それをああじゃこうじゃぬかしおって、じゃかしい、ケチがついたベルトなら、いらんわい。興毅がベルト巻くの、みんな気にいらへんのやろ。やめとけ、そんなん。興毅にはそう言うたった。大晦日に階級一つ上げて世界挑戦する。だけどな、今回文句たれたマスコミどもは取材お断りや。まともにわしらを見てくれた人には応えるけどな。どっちにしろ次は誰にもガタガタ言わせん」

 ・・・って具合にね。

 どうです、あっという間に2階級制覇です。勝っても負けても勝ちになります。もめたら返上して3つ目を獲りに行けばいいんです。デラ・ホーヤも真っ青、6冠だって7冠だって夢じゃない。東洋の至宝2つ、実力のパッキャオ、工作の亀田って…え、ふざけすぎ? 失礼。

 あの日、友だちんとこでテレビ観戦だった。そこの子どもが小学6年生の女の子で、亀田ファンでさ、11Rなんて顔そむけちゃって。こわくてテレビ見られないって言ってね。

 12Rもほとんど見なくて声だけ聞いてたね。彼女にとって、ここらは記憶に残って、亀田の値打ちになったはずなのに、それも束の間、判定のコールに困った顔してたよ。

 バカだね。ふつうのボクシング好きならね、負けたからって、それだけで腹たてたり愛想つかしたりなんてしないのに。

 そりゃ、中にはいるだろさ。ソレ見たことか、嘘つき、ふざけるな、騙しやがって、あやまれ、大口たたくな、先輩を敬え、ざまあねえじゃねえか、って人もね。あれだけいろいろ言ってきたんだから、大勢いるだろさ。TBSにゃ6万件を超える苦情が殺到したともいうしね。

 もう一回言おうか。負けたからってね、腹たてたり愛想つかしたりなんかしないのに。

 2006年8月2日、夢の始まりは、これまでの夢の終りだった。そう思えた。

※写真協力:山口裕朗
 Photo by Hiroaki "Gutchi" Yamaguchi


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■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれて観戦に通う。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がない。(有)トランス企画社長。独身。

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