酔いどれ前のひとりごと vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2

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vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2


異邦人

 なるべくしてなって、なった瞬間にもう名王者の風格で、そんなバレロがリナレスが、格のちがうボクシングを見せてくれても、彼らは日本人ではない。海の向こうのボクサーよりもガイジンではないけれど、やっぱり異国の人で、だから、ピンチのときも、まだそれほどのシーンはないんだけど、それから、チャンスのときも、どっか落ち着いて見ていられる。そのかわり、どっか誇れない。


野次うまのすけ

 観戦はリングサイドがほんとうかい。立ち見の大向こうじゃだめかい。ましてテレビ桟敷なんかじゃあ、話になんねえかい。


偶然のバッティング

 世の中はやられ損で、殊に日本は刑罰が軽いからそこを見越して悪さするのもいるらしい。そんな風潮にならったわけではないだろうが、試合続行不能な出血ならそれがパンチで切れたものなら血が出たほうが負けになって、偶然のバッティングならそれまでのスコアで勝敗が決まるって、理にかなっているようで、しかし、なんか変。

「偶然」のバッティングって言うことは、一方に「故意」のバッティングがあって、そっちのほうは減点とか失格とか処罰がくだるんだろうけど、偶然の場合は偶然で他意はないんだから仕方がないでしょうということなんでしょう。でも、リングの中に《偶然のバッティング》なるものが本当にあるんだろうか。おしなべてバッティングは「未必の故意」と思う。

 また、パンチでカットすることがそうそうあるんだろうか。まぶたの古傷がひらくといった、いささかの事例はあるにしても、たいていはパンチが当たったようにみえて、その前に頭や肘が当たってのものではないか。パンチが当たっても頬や腕や腹からの出血を見ないのは、そこに筋肉があるからとか骨がないからといった人体構造の理由だけではなくて、グローブをつけた拳が皮膚を切り裂くことはほんらいないから、なのではないか。

 どっかの試合で、グローブに金属粉が仕込まれていたなんぞという物騒な話がネット上にあったけれど、ただのグローブじゃ流血は困難と知る関係者のたくらみが見えてくるようで、デマにすぎなくてもパンチでのカットの難しさの証左にも取れる。

 だからこそ至近にいるレフェリーが正しく即断していると専門家や識者は言うだろうが、情念渦巻くコンマ何秒の高速世界を常に精確な視座で捉えることができるならいいが(だったらレフェリーこそ採点者に戻すべきで)、そばにいるからといってレフェリーひとりに出血要因を断じさせるのはどんなものか。大相撲だって行司差し違えがある。偶然のバッティングという文言とそれを取巻く環境について、ボクサーへの追跡調査とかフィルムでの再確認とかバッティングそのものへの措置の再考とか、検討してみちゃどうだんべ。


ひとりごとの絵空ごと

 わずかなゼニをちまちま数えるような点数ごっこなんかほっといて、時には世界タイトルマッチを15回戦でやってみないかい。あるいは、ノンタイトルでもいい、どっちかが倒れるまで無制限で。

 どっちが勝ったかじゃなくて、どっちが強いのかをたまには見たい。


▽バックナンバー
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
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vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
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vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ~2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン~もちろん架空~エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。


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