マック田口の《「三谷vs.池原」密着記》

EN EL MUNDO TRIUNFARE BOXEO ~Vol.10~
三谷 将之(高砂)vs.池原 信遂(大阪帝拳)
――“サバイバル戦”観戦記――
2008年7月6日@兵庫県高砂市総合体育館

 7月6日、高砂市総合体育館で行われた日本バンタム級タイトルマッチ、「三谷将之vs.池原信遂」のサバイバル戦に、“あしボク関西支部”マック田口が参戦。当日の模様をレポートします-----。

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 2006年8月、日本バンタム級王座決定戦で健文トーレス(大鵬)を判定で破り、第62代日本王者となった三谷将之は、2度の防衛後に東洋太平洋タイトルに挑戦するが、王者ロリー松下(カシミ)にTKO負けを喫し、今年2月には虎の子の日本タイトルも大場浩平(大一スペースK)に奪われた。

 試練の時を迎えた三谷だが、親交のある貴乃花部屋・貴乃花親方から勝負師としてのアドバイスをもらい、今は打破しようと懸命にトレーニングを積んできた。

 三谷が所属する高砂ジム・山下忠則会長の超強気なマッチメークも今やボクシングを取材するマスコミの間では有名だ。

 その姿勢が高砂ジムのボクサーたちにも浸透しており、全体のレベルアップに繋っている。他のジムのボクサーが「あそこ(高砂ジム)は、ホンマみんな強いっすよ!」と聞いたこともあるぐらいだ。

 一方の池原信遂は今年1月、地元大阪でWBA世界バンタム級王者ウラジミール・シドレンコ(ウクライナ)に挑み判定負けした。32歳という年齢を考えると引退も十分に考えられたが、3月に現役続行を明言。復帰戦となるのが、この日のサバイバルマッチ。

画像 三谷は第62代日本バンタム級王者で、現WBC世界バンタム級15位。

 池原は第61代日本バンタム級王者で、現WBA世界バンタム級8位。

 2008年下半期、関西で一発目の大一番だ。

 試合前日となる7月5日(土)、計量では三谷、池原両選手とも一回でパスした。

画像 試合当日の翌6日(日)―――12時20分頃、決戦の地となる高砂総合体育館に池原が、三谷はその15分後に、それぞれ会場入り。

 どちらも表情は至って穏やかだったが、静かな緊張感と並々ならぬ決意が感じ取れた。

 第一試合に高砂ジム所属のボクサーが出場、デビュー戦ながら1回TKO勝ちして弾みをつけた。

“スペシャルマッチ”では、テレビ番組『ガチンコファイトクラブ』にクラブ生として出演していた3期生の山中司さんが、元日本フェザー級7位でこちらも『ガチンコ~』で辰吉選手と出演していた戎岡彰選手が「ガチンコ スーパーファイト」と銘打って対戦。会場を一層盛り上げた。

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 午後3時40分、サバイバルマッチの始まりを告げるゴングが鳴り、マイクコールに促さた池原はガウンも着ずに白いトランクス姿で歩を進めた。三谷は黒のガウンに黒のトランクスで地元の歓声を浴びてリングに登場した。

画像 ジリジリとした緊張を断ち切るように1Rのゴングが鳴り響いた。

 三谷はリング中央まで行くと左にステップを踏み、左ジャブを放つ。池原は左右に体を振ってかわす。

 三谷は左ジャブから右ストレートの組み立てで、丁寧なボクシングを心掛けているように感じ、池原は距離を測っているのか、前に出ているが様子を伺っているようだ。

 互いに動きは悪くない。

 2R、三谷の左ボディブローや左アッパーがヒットするが、池原はジリジリと距離を詰め出す。三谷陣営から「(クリンチからの)離れ際に注意や」との声が飛ぶ。

 3Rになると三谷選手も接近戦で迎え撃つ。右アッパーを躱されるが続け様にパンチをまとめてヒット。

 4R、池原の左右フックが三谷の顔面をとらえる。池原のプレッシャーが一段と強くなった。

 三谷がコーナーに戻ると、セコンドの高砂ジム・山下忠則会長が、身振り手振りで三谷に檄を飛ばす。

 5R、今度はお返しとばかりに三谷の左右フックで池原の顔が歪む。一進一退の攻防に会場も「三谷」コールと「信遂」コールがリング上で交差する。

 しかし、偶然のバッテングで三谷が左目の上をカットする。

 6R、三谷も上下のコンビネーションで打ち合いに応じる。

「さすが元日本王者、そして現役世界ランカー同士の試合や。これから手汗握る展開になるでぇ・・・」

 と誰もが予想した矢先、7R開始のゴングが鳴る前に、レフェリーが両手を振った。

 池原が三谷のコーナーに駆け寄り「すいません!」と頭を下げる。

 三谷の左目の負傷が試合続行不可能となり、負傷判定となったのだった。

 結果は――ジャッジ3者とも「58対57」で三谷を支持。

 三谷がコールされると、赤コーナー後方に陣取った応援団からドッと歓声が上がった。


 試合後の控え室。三谷は、

「相手(池原)のペース合わせてしまったんで、今日のテーマやった平常心を保つことができなかったですね」

 と言葉を選びながら語った。

 わずか1ポイント差。サバイバルマッチを制した三谷の傍らで、山下会長が静かな笑みを浮かべているのが印象的だった。

<文中敬称略>

[あしボク特派・マック田口]
 Makoto "Mac" Taguchi

この記事へのコメント

CQ
2008年07月11日 16:11
再戦して、今度はすっきりと決着をつけて欲しいですね。

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