ウィリアムス、大荒れの打撃戦を制す【On Boxing@PC #030】

おおひなた れいの《On Boxing@PC》
――モニタの片隅からセカイを覗く――

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#030 5/30 Baracaldo興行より 


 おおひなたです。ほかにネタないのかw・・・・・3連チャン!

ウィリアムス、大荒れの打撃戦を制す

◆May 30 2008@Pais Vasco,Baracaldo(スペイン)
会場:Pabellon Lasesarre
プロモーター:Ahmet Oener : Arena Box-Promotion, Arturo Moral : Stock Eventos SL
テレビ放映:DSF


ヘビー級8回戦
○ ダニー・ウィリアムス(121.10キロ)/38-6-0, 30KO
 ――TKO 7R(time: 0:25)――
× コンスタンティン・アイリッヒ(100.70キロ)/23-2-2, 14KO

(ウィリアムス、ローブローで2回に2点、5回に1点減点。3回に2ダウン。4回に1ダウン。アイリッヒ、2回に1ダウン。5回、6回にそれぞれ1ダウン)


(Youtube内を検索するとPart7まであります)

 アリーナ・ボックスとStock Eventos SLの共同興行。アリーナのスペイン遠征興行は昨年も行われた。イタリア同様、欧州全域への足がかりを広げる一環のようだ。

 この試合は当初予定されていたソリスーボタが延期になったため、急遽メインに格上げされたカードである。

 マイク・タイソン、マット・スケルトン、ビタリ・クリチコ、オードリー・ハリソンらとしぶとく戦い続けてきたウィリアムスに関しては説明不要だが、アイリッヒはおそらく馴染みのない読者がほとんどだろう。カザフスタン出身で豊富なアマ経験を持ち、現在はハンブルグをホームにしているアリーナ・ボックス所属の新鋭ヘビー級選手だ。

 ソリスたちが亡命潜伏中の昨年1月にデビューし、この試合まで9戦無敗8KOのレコードをもつハードヒッター。

 左右のフックを強打しながらインサイドに突っ込むファイターである。だが、相手はいずれも微妙な安パイばかりなことに加え、3月の試合では、ソリスが一分足らずでKOしたアウトボクサー、アレックス・マジキン相手に引き分けてしまうなど、まだまだその力はトップとは隔たりがある。

 そんな選手にこの時期、ウィリアムスをぶつけることを選んだのはかなり強気・・・というかほとんど無謀なマッチメークと言ってもいいだろう。


 ぼくは事前の予想としてそのぐらいアイリッヒには不利だと思っていたので、結果はKO負けだったが、マニアや関係者の間ではアイリッヒの評価は上がり、むしろウィリアムスにとってこの逆転勝ちは「やっぱり不安定すぎる」と、評価を下げたんじゃないだろうか。

 開始早々からザル気味のガードを何度もアイリッヒの荒っぽいブローにぶち抜かれ、あわやKO寸前の連打を数回もらってお得意の宇宙遊泳も披露していた。

 ローブローの連打も相変わらずひどい。早いレフェリーなら3回のダウンでストップされていてもおかしくない。

 粘ってボディから顔面への連打で逆転したとはいえ、安パイをKOしてきただけのホープにこの内容では、とても高い点を与えられない。

 それにして、も! 動画をご覧いただけばわかると思うが、試合内容より他に触れる箇所が実に多かった。さまざまな意味で地方(スペイン興行なんて田舎興行であろう)興行の悪いところが出た、とんでもないモノだったのだ。

 レフェリーも運営も劣悪すぎる。テレビの実況も堂々と苦笑していたほど露骨だった。

 2回にウィリアムがぶち込んだローブローの2点減点も首をかしげるし(あのタイミングなら、せいぜい1点だろう。むしろ5回のローブローを累積とみて2点減点した方が正当だ)、しかも、そのローブローで悶絶したアイリッヒにダウンを宣告するなど全くもって意味不明。

 同じくウィリアムスが、4回終了間際に接近戦からスリップしたのを誤ってダウン宣告してしまうあたりも、レベルの低さを露呈している。

 そして極めつけは6回の終了ゴング早鳴らしである。興行主側の選手であるアイリッヒがウィリアムスのボディーから顔面へのフックのコンビネーションでフラフラになると、まだ1分20秒だというのに、なんとラウンド終了のゴング!

 過去、こうした興行主側の選手を守るための都合によるゴング早鳴らしは世界にいくつも例があるし、ドイツやフランスはわりと露骨に地元びいきの偏向的判定やレフェリングをかましてくるが、これはかなり露骨で笑ってしまう。なにしろタイミングが・・・バレバレじゃないですか(笑)。
(ムアンチャイ・キティカセムーユーリ・アルバチャコフとか、井岡弘樹のアレあたりは日本人も馴染み深い)

 試合後、アリーナのオーナー、アフメト・オネルは、

「あれはスペイン側のスタッフがこちらに勝手に気を使ってデタラメをやっただけ。私は多くのドイツのプロモーターと違って、圧力をかけて自分の選手が有利になるようなことはしない。あの場所で興行をやったのは失敗だった。ひどいレフェリーと運営だ」

 とHPで弁明していたが、リング上の様子を見ていても、おそらくそれは本当なのだろう。

 閉鎖的な地域で試合をすると、国を問わずこういうことが起きる。人間の考えることなんて皆同じようなものだ。


 アイリッヒは試合後に左手を骨折していることが判明したが、完治後にはどうやらリマッチがありそうな気配とのこと。

 ウィリアムスは次戦に英国ヘビー級タイトルマッチが控えている。相手は過去、マット・スケルトンが持っていた同タイトルに挑戦して1RKO負けしているぐらいのレベルだが、アイリッヒ戦の調子だとけっして安心はできない、ように思える。
(そういう波乱含みで派手なボクサーだからこそアチコチからお声がかかるのかもしれないが・・・)

 リマッチが実現するなら、今度は公平な環境でやって欲しいものである。


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■おおひなた れい
19○○年生まれ、東京都出身。八王子に屹立する某美大に、不真面目に通う院生。WEB2.0環境の恩恵を受けて以来、本格的に海外ボクシングを見始める。ジョイス・キャロル・オーツの『On Boxing』やブコウスキーに触発され、ボクシングと芸術の関わりについて日々考察中。約2分ほどプロボクサーを志した過去もあり…。

この記事へのコメント

露骨モノ
2008年07月10日 13:17
1分20秒で鳴らすなんて。。。やるなあ。

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