オスカー・デラホーヤ≒原辰徳!?

 確か「即日で書き上げる」って言ってなかったっけ。もう2週間近くたつけど、まだですかね。

 いやあ、すみません。ちょっと悪いタイミングでウチのネコが産気づいちゃって。

 最近のネコはオスでも子ども産むんだ。

 いや…まあ、そんな言い訳を考えたけどさすがに整合性がとれないし、却下したんですけどね。うっかり出てしまいました。

 まあいいや。とりあえず今回の試合について。どんな風に考えました?

 とにかくね、今回の一戦はデラホーヤらしさが出た試合だと思うんですよ。

 その「らしさ」ってのは、つまり?

 かねてから、1つの仮説を立てていたんですよ。今回の結果はその裏づけの補強かな、と。

 ふんふん。その仮説って?

 オスカー・デラホーヤは原辰徳である!

 なんか飛躍してない? 大丈夫?

 いきなり過ぎたかな。じゃあ、原辰徳と聞いて思い浮かぶことを挙げてみてもらえますか。

 巨人の監督で、現役時代は4番打ってた。来年のWBC…野球のほうの、日本代表監督も務める人、だね。爽やかな外見のスター選手で、女性ファンも多かったし、子供にも人気が高かった。

 しかしその反面、チャンスに弱いっていう評価もあって、「お嬢さん野球」なんて言われたりもしたでしょう。

 実際にはサヨナラヒットも少なくないし、打点王も取っているくらいだから、言われているほど悪いバッターじゃないんだけどね。それでも《ON》や清原の「お祭り男」ぶりと比べると、大舞台には弱い印象が残るかもね。

 それですよ、つまりは。

 大舞台に弱いってこと?

 そうそう。デラホーヤも同じなんですよ。爽やかな2枚目で、ボクシングも強い人気者。だけど大舞台に弱い。実際、ビッグマッチは全敗です。フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)、シェーン・モズリー(アメリカ)に2度、バーナード・ホプキンス(アメリカ)
画像でもって、フロイド・メイウェザー(アメリカ)、そして今回のマニー・パッキャオ(フィリピン)

 フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)、パーネル・ウィテカー(アメリカ)、アイク・クォーティー(ガーナ)、フェルナンド・バルガス(アメリカ)、それにフェリックス・シュトルム(ドイツ)には勝ってるよ。それからリカルド・マヨルガ(ニカラグア)にも。アルツロ・ガッティ(カナダ)にもね。

 そのへんは割り引いて考える必要があると思うんですよ。チャベス、ウィテカーはピークを過ぎていたし、バルガスも同様。いい試合だったけどクォーティーは長期ブランク明けだったし、マヨルガだってやりやすい相手だったでしょう。ガッティは体格が違いすぎて論外だし、シュトルム戦は実質負けでしたから。

 つまり、いまあげたものは「ビッグマッチ」とは認めない、と。

 (うなずきながら)セルフ・プロデュース能力は高いと思いますけどね。そういう峠を過ぎた選手相手の試合を「ビッグマッチ」に仕立て上げて、自分をよりよく見せるところなんか見ていると。

 そしてトリニダードには最後に出ていくハートの差で敗れ、モズリーやホプキンスには実力負け。体格差のあるメイウェザーやパッキャオにも負けているじゃないか、と。

 そうそう。そもそも6階級制覇とかいったって、半分がWBOでしょ。はじめの2つのときのWBOなんてヨーロッパ大陸御用達の「世界」タイトルだったし、ミドル級のときだってシュトルムは“穴”だと踏んでいたと思いますよ。結果的には大苦戦、ていうかあれは負けですけど。

 一理あると思うけど、デラホーヤの「原辰徳」性とは関係ないよね。アンチ・デラホーヤ論の展開になっちゃうから話を戻そうよ。

 そうですね。結局デラホーヤって、スターではあるけれど「スーパースター」にはなりきれなかったボクサーだと思うんですよ。それはつまり、真の大舞台でことごとく負け続けたのが原因なんだけど。たとえば同じ中量級でも1980年代のいわゆる「Fabulous Four」…。

 シュガー・レイ・レナード、マービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ(以上すべてアメリカ)に、《石の拳》ロベルト・デュラン(パナマ)ね。

 そうそう。彼らはほとんど総当たりのリーグ戦のような感じで戦ったでしょ。デラホーヤにもライバルと位置づけられる選手はいて、あらかたの選手と戦ってはいるんだけど……

 だけど基本的には「対デラホーヤ」っていう軸で語られることが多かったし、「デラホーヤと戦った者」同士の試合の注目度は相対的に低いから、あのときのリーグ戦のような盛り上がりはなかったかもね。

 そして総当たりで戦うことで80年代の四天王はそれぞれが価値を高めたし、なかでも全員に勝ったレナードが突出した存在感を誇示したわけですよ。

 ハグラー戦の後からミソがついちゃったけどね。それでも大舞台での強さっていう点ではデラホーヤの比じゃない。デュランは全員に負けているけど(注:レナードとの緒戦では15回判定勝ち)、勝負弱さは感じないもんね。

 あえて言えばハーンズがそうかもしれないんだけど、相手がピークを過ぎるのを待ったり、壊れるのを待つようなことは誰ひとりとしてしていない。そのハーンズだって相性の悪いアイラン・バークレーに再戦を挑んでいるでしょ。返り討ちにあったけど。

 デラホーヤもモズリーには返り討ちされているか…そのあと取り込んじゃったけど(笑)。

画像 ホプキンスも取り込んでますからね。勝てないなら仲よくしちゃえ(笑)。そういう抜け目のなさっていうかね。引退後も順風満帆で行きそうなところも…、まあそれはいいことなんだけど。

 名選手でも引退後悲惨な人は少なくないからね。

 うん。だからそれはそれとして、なんですよ。話を戻すと、自己演出の上手さで手堅い試合を「ビッグマッチ」にしてしまうところとか、それでいて真価が問われるような試合ではまったく勝てないところがね、デラホーヤが最終的に「スーパー」な存在になれなかった原因だと思うんですよね。

 でも世の中的にはスーパースターってことになってるけどね、つまりそれが歯痒いと。

 そういうことですね。なんていうか、感情移入のできない選手なんですよね。確かに実力者だし、華もある。だけど不特定多数の人の思い入れを背負うような存在ではない。

 そこが80年代の四天王とは違うところ、と。まあ、とりわけレナードなんだろうけどね、比較対象は。そう考えると《ON》になれなかった原辰徳と重なる部分はあるね。時代が違うから、そういう不幸もあるだろうけど。

 もうひとつ、こじつけなんだけど、原が監督として成功していることとデラホーヤがプロモーターとして成功していることも共通項かな…。

 「名選手、名監督ならず」の逆ね。まあ、2人とも「それなりの名選手」ではあったと思うんだけど。これは時代の検証を待ちましょうか。

 なんとなくオチらしきものがついたところで締めにしましょうか。じゃあ、お会計よろしくお願いします。終電あるんで。

 ……

(2008年12月某日、都内某所にて)

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この記事へのコメント

bc
2008年12月21日 05:17
デラホーヤの云々ってよく言われるけど、聞きたいんですがデラホーヤのトリニダード戦とモズリー戦の内容と結果が逆だったら、デラホーヤの勝ちって認めますか?そう言ってる方たちってほとんどの人は認めないと思うんですけど。

で同じでも、デラホーヤが負けた場合は負け、買った場合は認めない、何すかソレ?そういう態度が色んな選手に対しどんどん妙な批判ばっかが横行し、ボクシング全体がぜーんぜん盛り上がらないって事に繋がって言ってるんじゃないですかね。要するに(世界的に)こんな状況を作り出してるのは、多くのファンの基本的態度その物だと思います。で、象徴的に現れてるのがこういうケースでは?多分これが続くと80年代四天王と同等の実力と華の選手が出てきても、(妙な)批判で落として本家と同じような評価を得る事はないまま選手生活を終えるでしょう。皆で自虐でしょうか?

個人的には完調でピーク時のクォーティーにもトリニダードにもモズリーにも勝ってると思ってるし、80年代四天王に充分匹敵した実力実績だったと思ってます。
monzon
2008年12月21日 10:36
上の方に同意…。
なんだかんだ言って、あれほどリングでビッグマッチ戦い続けた選手なんて他にいない(レナードはリングを離れてばかり)しその内、いくつか負けたって評が落ちるわけじゃない。それ言うならトリニダードだってホプキンスに、モズリーだってフォレストに惨敗してるじゃないですか。デラホーヤだけ不当に評を貶めるのはアンフェアっすよ。メイウェザーをあれほど苦しめたのだって勲章でしょう。よくよくレナードと比較されるのは金メダリストでありスター性がずば抜けていたから。それでレナードは80年代、唯一の勝者だったのにデラホーヤは結果的に大一番で負けていたから。それだけの問題でそれ以外の功績は同等だったと思います。
manu
2008年12月21日 19:44
デビューの頃から思ってましたが、デラホーヤはなんかセンスというかフットワークなどに運動神経の良さを感じなかった。よってスーパーチャンプクラスには負けている。ただ、クレバーなボクサーではあるのであれだけチャンピオンクラスと立て続けに対戦してきても結果を残してきていると思います。抜きん出たセンス抜群のボクサーではないように思うが、クレバーさでカバーしてきた実力の持ち主であると思います。
CQ
2008年12月22日 12:18
デラホーヤはビッグマッチに負けてきたからこそ、自らの商品価値が落ちることを恐れることなく、強豪との対戦が組んでこれたんでしょう。
[井]
2009年01月04日 16:28
コメントありがとうございます。返答遅くなってすみません。

読んでいただいたとおり、現実としてこうだった(負けた)、勝った試合にしても手放しで褒め称えられるとはいいがたい…という話=我々なりの批評をしただけで、bcさんやmonzonさんが言うように「貶め」たつもりはないですが…ちょっとヒステリックな反応に戸惑いました(笑)。

トリニダード戦とモズリー戦の「内容と結果が逆」だったら、もちろんデラホーヤの勝ちと認めると思いますよ。
origamistar
2011年03月14日 17:45
デラホーヤが勝負弱かったら、ウィテカーにもクォーティにも大差で完敗してましたよ。当時のあの2人とあそこまで接戦できたボクサーってデラホーヤ以外に見当たらないと思うんですがね・・・。
GUIGSY
2011年03月21日 09:31
でもTITOはウィテカーに圧勝してるし、当時のクォーティも倒せると思いますが…?
一応デラホーヤにも勝ってるし。
origamistar
2011年04月13日 17:49
トリニダードは正面から打ち合ってくれる選手か、まっすぐ下がるしかない選手に強いのであって、デラ戦時の、小回りが利いてカウンターで応酬できたウィテカーには完敗してたと見ています。クォーティには五分五分といったところですかね・・・。ホプキンスやウィンキー・ライトの堅牢なガードに弱いティト、左フックの崩御にやや弱い(デラ戦時に二度ダウン)クォーティ、といった図式ですね。
いずれにせよ、鈴氏のデラホーヤ評には大いに疑問あり、といった所ですね。80年代四天王とデラとの差はありませんよ。レナードだって、ハーンズⅠ戦では相手の過剰減量に、ハグラー戦ではリングの広さに助けられたわけであって、jrミドル級に上げて充実期に入ったハーンズ、再戦を望んだハグラーからは逃げたわけですしね。

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  • 「オスカー・デラホーヤ≒原辰徳!?」について

    Excerpt: 「オスカー・デラホーヤ≒原辰徳!?」について まったく、管理人のおっしゃる通りです。デラ・ホーヤは実力でいえば80年代の四天王よりウィルフレド・ベニテスぐらいのレベルの強さでしょう。 Weblog: ボクシングとロックと野球と。 racked: 2008-12-21 16:46