粟生隆寛、1ラウンドKOを命ず 【酔いどれ前のひとりごと vol.112】

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vol.112 粟生隆寛、1ラウンドKOを命ず


 WBC世界フェザー級3位、粟生隆寛の世界再挑戦(3月12日/後楽園ホール)が近づいてきた。

 前回はダメージを与えたダウンを奪うものの好機を逸し、後半ポイントアウトされて勝ちを逃した。再戦だから互いに手の内はわかっているが、相手は試合のたびに衰えが見えて下り坂、こっちは上り坂――

 というようなことではなくて、ここはぜひとも、粟生に1ラウンドKOをしてもらいたい。それが果たせずとも3ラウンドまでには倒しきってもらいたい。4ラウンド以降はないと、そういう試合をやってもらいたい。

画像 要は「再戦」じゃなくて、「この間の試合がまだ終わっていない」という感覚。

 12ラウンドが終了して、ちょっと長めのインターバルが済んで、さあ13ラウンドが始まるっていうこと。

 ここまでくればもう相手の様子を見る必要はない。虎穴に入って虎子をいただくだけ。

 世界戦は12回までありますからね、スタミナが心配です。序盤は慎重にいって、慎重にいきすぎるということはないんですから・・・

 チャンスがあればそこで畳みかければいいわけですから・・・

 後半どこかできっとチャンスは来ますから・・・

 それまでは我慢してスタミナは温存して、とにかく焦らず無理せず、練習してきたことを出せば、どこかで必ず勝機はきますから・・・

 相手は百戦錬磨でしょ、だったらなおのこと、いきなり仕掛けるというような、そんなことはあなた…ねえ、いかがなものでしょうか・・・

 そんな声が聞こえてきそう。

 親の反対を押し切って、夢中になってる男のもとへ行こうとする娘に、親は諭すが娘は聞かず。そこへ親戚のおじさんが登場して・・・・このおじさんはたいがいが銀行員だったり公務員だったりして、さかしらな態度と穏やかな口調とで姪の行動を阻止しようとする。

 考えなおした娘は男と別れ、数年後親の薦める相手と一緒になり仕合せになりました、っつうことかい。ばかやろう、仕合せなんてクソくらえだ、って、いや、べつにそれならそれで、仕方ない、いいんですけど。

 試合が始まったら、あれ!? これは前の試合から続いているんじゃないかと、そんな思いをたまにはしてみたい。

 たいしたヤマもなく12ラウンズが過ぎて、ずるずるの判定負けで、みんなで慰めあいっこする――の図は見飽きているから、時には常識破りで時空を壊すような、おっきなものを見たい。

 選手ならびに関係者には失礼なことだけれど、粟生が1ラウンド開始のゴングで飛び出していって、あとはもう倒すだけだというように攻め込んで、打ち合いのすえに倒してしまったら凄いし、倒しそこねて反対に倒されたり、2ラウンドや3ラウンドでガス欠になって自滅なんかしちゃったら、これまた凄い。

 元世界チャンピオンの小林弘さんに話をうかがったとき、浜田剛史が1ラウンドから出て、レネ・アルレドンドを倒した、あれは僕の指示だったんだと、笑っていたことを覚えている。

 浜田と粟生はタイプが違うよなんて言うなら、ごもっともだけど、そんなことならいつまでたってもなーんも変わりゃせん。

 オスカー・ラリオス(メキシコ)は、好戦的でスキの多い選手。そのスキが粟生にはしっかり見えているはず。もちろん飛んでくるパンチの威力も身をもって知っているだろうけれど、ここは一気に行って…くれるかな?


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■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

この記事へのコメント

jam-z
2009年03月03日 09:45
同感です。
前回の経験が変な自信となって「同じように戦えば勝てる」なんて思ってしまうと返り討ちに遭いそうな気がします。
アイアンマン
2009年03月04日 15:11
やれたらいいな。

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