オールド・ファッション・ボクシング~6 【酔いどれ前のひとりごと vol.115】

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vol.115 オールド・ファッション・ボクシング
~タイソンからパッキャオまで~6


 1993年は新しいスターボクサーが台頭した。

 WOWOWエキサイトマッチ新年の放送でオスカー・デラホーヤのデビュー戦があり、以後彼の試合はこまめに流された。

 今のところ、エキサイトマッチ20年の中で最大のボクサーだろう。ここ20年ではなく、エキサイトマッチ20年の中で、と注釈を入れるのは僕の頭が固いから。どっかでまたデラちゃんのことは触れる。

 5月、微妙な判定だったが、ロイ・ジョーンズバーナード・ホプキンスに勝ってWBAミドル級チャンピオンになった。

 ロイ・ジョーンズはロイ・ジョーンズ・ジュニアと言わなければならないのか…気になったままだった。

 6月はIBFウエルター級戦で、フェリックス・トリニダードモーリス・ブロッカーを倒し、さっそうと登場。ボクシングがいいと、名前までも輝いて見えた。

 エキサイトマッチによって初めて現れたスターボクサーはジェームス・トニーだと僕は思っているが、あとに続いた上記3人も、デラ・ホーヤはWBO、ほかはIBF王座が出発点になっていることが腑に落ちなかった。

 WBOも、そしてIBFまでも僕の中ではいまだにマイナー団体。こんなものができるから、肝心の、誰がいちばん強いのかとか、いろんな記録の値打ちとかが測りがたくなってしまった。

 統一戦や複数階級制覇やタイトル防衛回数や指名挑戦者等々の魅力の、なんと色あせたこと。

 じゃ、WBAとWBCはいいのか。これだって好くはないけどさ。できてしまったものはできない昔には戻れないらしいから仕方がない。

 ひところ『世界名ボクサー100人』なんていう本が数年おきに出ていたものだが、この手のものはもう出なくなった。

 せいぜいが年度単位の名ボクサーを取り上げる企画だけど…そりゃそうだ、雨後の筍みたいに同じ階級にいくらでもチャンピオンが出てくるんだから。加えて世界戦が15回から12回に短縮されたせいで、古今のボクサー比較が難しく、ほとんどできなくなった。
 

 2009年3月12日、粟生隆寛オスカー・ラリオスに完勝で世界チャンピオンになった。応援した甲斐があった。いや、ほんと、応援してました。

 翌日、昔のボクシングフィルムを見てたら、修理工場のおっちゃんが、頼んでおいたクルマの部品を持って現れて、テレビ画面をのぞき込んだ。

「お、なに見てんの、きのうのボクシングか、なーんだ、違うのか。きのうのボクシングは良かったねえ、見たかい、きのうのボクシング、ボクシングはああでなくっちゃ。どんどん攻めなくちゃな」

 たいそう喜んでた。

 長谷川穂積は長谷川穂積で神がかり的な1ラウンドKO。

 インタビューでも目標は記録でなく強くなることと言ってのける。その声と志をビン詰めにして、ごちゃごちゃ講釈しては凡戦をくりかえす世界中の、欲の皮のつっぱったボクサーや関係者の鼻づらに押し当ててやりたいものだ。


▽バックナンバー
vol.114 オールド・ファッション・ボクシング~5
vol.113 オールド・ファッション・ボクシング~4
vol.112 粟生隆寛、1ラウンドKOを命ず
vol.111 オールド・ファッション・ボクシング~3
vol.110 世界を制する左を
vol.109 オールド・ファッション・ボクシング~2
vol.108 オールド・ファッション・ボクシング~1
vol.107 粟生惜敗で思い出す「女神」…つづき
vol.106 粟生で思い出した「女神の機嫌」
vol.105 粟生が逃したチャンス
vol.104 がれき
vol.103 大場政夫の強さについて
vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
vol.95 追放
vol.94 ゴキブリ発言
vol.93 辰吉、魅惑の3番勝負
vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
vol.90 ロッカールーム
vol.89 重箱のスミ~2006年12月号
vol.88 重箱のスミ~2006年11月号
vol.87 アウトがセーフ
vol.86 重箱のスミ~2006年10月号
vol.85 ラウンドガールは飯島愛
vol.84 重箱のスミ~2006年9月号
vol.83 夢の始まりは…
vol.82 重箱のスミ~2006年8月号
vol.81 拳聖ふたたび
vol.80 重箱のスミ~2006年7月号
vol.79 重箱のスミ~2006年6月号
vol.78 重箱のスミ~2006年5月号
vol.77 重箱のスミ~2006年4月号
vol.76 重箱のスミ~2006年3月号
vol.75 悪いのはだれだ? おれだ…
vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ~2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ~2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン~もちろん架空~エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

この記事へのコメント

nekomick18
2009年04月16日 20:33
趣旨には心の底から賛成なのですが...粟生については賛同いたしかねます...
記録より強さ、の、記録、を、肩書としての王座、に置き換えると、西岡、粟生の王座獲得を巡る帝拳ジムのマッチメイクは、それこそとにかく世界王者、という肩書を得られれば良いという、欲の皮の突っ張ったもの、としか思えません。

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