オールド・ファッション・ボクシング~10 【酔いどれ前のひとりごと vol.120】

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vol.120 オールド・ファッション・ボクシング
~タイソンからパッキャオまで~10



 1995年1月、アレハンドロ・ゴンサレスがダウン応酬の末、ケビン・ケリーを10RでストップしてWBCフェザー級王座についた。ウィルフレド・バスケスはバンタムから上ってきたオルランド・カニザレスに、パンチを合わせる得意の戦法でWBAジュニアフェザー級9度目の防衛を果たした。

 この年コンスタンチン・チューとマルコ・アントニオ・バレラがエキサイトマッチ初登場。チューを初めて見たとき、その顔つきが大場政夫に似ていると思った。バレラもまたその容貌とボクシングスタイルが誰かに似ているようで、けれどついに特定できなかった。

 パーネル・ウィテカー、ロイ・ジョーンズ、フェリックス・トリニダードは順調にスター街道を行った。

 中でトリニダードは強さ美しさの反面、もろさ、というよりも危うさがあってそれが彼の魅力を引き出していると見ていた。ウェルター級時代のシュガー・レイ・レナードにひよわさを見て、それと重ねた覚えがある。

 オスカー・デラホーヤは、ジョン・ジョン・モリナ、ラファエル・ルエラス、ヘナロ・エルナンデスを連破して本物の輝きを見せはじめた。けれど、金平桂一郎『拳の真相』にも触れてあったが、オルズベック・ナザロフとの対戦が実現しなかったことがいまもって残念。

 4月、ビンセント・ペットウェイがサイモン・ブラウンを6Rに倒してIBFジュニアミドル級王座を守った。挑戦者は倒されてもなお横たわったままで、パンチを繰り出すという衝撃のKOシーンだった。

 先日のマニー・パッキャオvs.リッキー・ハットンも忘れがたいKOだったが、この試合の結末もまた記憶に残っている。

 1995年はほかに、7月サマン・ソー・チャトロンがウンベルト・ゴンサレスを7R逆転KOに仕留めて、9月にはウィラポンが微妙判定ではあったが4戦目での戴冠を成しえた。

◇   ◆   ◇   ◆   ◇

 過日NHKで長谷川穂積、畑山隆則、浜田剛史による鼎談があった。頂点をきわめた人たちの腹にある話だから、興味深かった。

 相手の呼吸を読むと現役王者が口を切った。相手が息を吐き出すときに攻撃をするということで、これはボクシングに限らず、格闘にあっては当然のことと思う。

 小生、幼きから若きころまで相撲が好きで、父や友を相手にわずかな時間と場所があれば、やろうやろうと言って相撲をとった。たわいない草相撲に過ぎなかったけれど、そんなものでも、組み合った瞬間に相手の力量がわかった。

 見てくれは強そうだったけどそうでもなさそうだとか、腕力があるとかないとか、腰が重いとか重くないとか。手ごわい相手なら、がっぷり組んで呼吸を読んでいた。相手が息を吸い込みそして吐き出しきる、その瞬間の間合いをさぐった。息を吐き出す、その瞬間がいちばん力が入らない時だからである。

 相手もまたこちらの呼吸を読んでいるはずだから、わざとわかるような息遣いをして、相手の攻めを誘ってその時こちらも技を返すというような、そういう駆け引きみたいなものも愉しみながらハッケヨイ・ノコッタ・ノコッタとやっていた。そんな昔を王者の発言で思いだした。

 リングにあがる直前まで、その試合が中止になることを願っていると、どうやら本気で思っているらしい口ぶりも印象的だった。


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■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

この記事へのコメント

2009年06月24日 11:40
初めまして!
遊びに来ました!
これからヨロシクお願いしま~す

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