真夏の夜の呆談「世界世界と言う前に......」

 都内某所、「小野寺洋介山(オサム)vs.和宇慶勇二(ワタナベ)」の日本スーパーライト級タイトルマッチを見終えた呆談員の面々が、少しばかりの酒とともにまたダベり始めたのは――8月10日の夜だった。

 きょうは面白い試合でしたね。ね、イノウ○さん。

 もっと多くの人に見てほしい試合でしたね。

 ……。

 おじさん。

 あぁ、そうね……。

 おじさんってば、何を難しい顔して考え込んでんのよ。

 あのさ、王座決定戦の出場資格ってどのへんまでかな。

 人の話まったく聞かないで……前回と同じような導入ですかい。

 うん。

 まあいいや。理想はやっぱり、1位と2位の選手が争うことですよね。一歩譲っても2位と3位。百歩譲っても、どちらか一方は1位もしくは2位であってほしいかな。六車卓也(大阪帝拳)がアサエル・モラン(パナマ)とのWBAバンタム級王座決定戦に出たときは5位か6位だったけど、モランは2位でしたっけ。

 まあ、あれはもともと六車がチャンピオンに挑戦する予定だったのが、急な返上で決定戦になったんだけどね。でも、決定戦の「あるべき姿」を考えたら「ナシ」だと思うんだよ。原理原則っていうかさ。そういう観点から言うと、「4位と5位での決定戦」っていうのは、ないよなーと思わない?

 挑戦者決定戦なら、ありかもしれませんけどね。

 そうだよな。石田順裕(金沢)の王座決定戦が決まったって報道されてるじゃないか。あれ、4位と5位なんだよね。

 しかもイノ○エさんの嫌いな「暫定」ね。でもあれ、亀田興毅(亀田)の暫定は認められなくて、こっちはオッケーっていう基準はどこにあるんだろ。原則として認めないって話じゃありませんでした?

 こういうのって例外はいくらでも作れるからな。その説明が詭弁にしか思えないこともよくあるんだけど。もっとも、こういうこと(暫定王座決定戦)でもないと、スーパーウェルター級の世界タイトルマッチなんて、日本じゃできない時代になっちゃったからね。そういう意味では「あり」なのかな……。

 またそういう苦虫を噛み潰したような顔しちゃって。石田、けっこういい選手ですよ。日本&東洋チャンプだった金山俊治(ヨネクラ)とも互角に近い試合をしているし、引き分けだったけどB-Tight!の決勝では松橋拓二(帝拳)を上回っていましたからね。

 でもそれはあくまで、日本レベルでの話だろ。石田に勝った金山だって、世界チャンピオン経験者のアンソニー・マンディン(オーストラリア)には完敗してるじゃないか。だいたい、石田って世界ランカーに勝ってランクインしたんだっけ。

 どうだったっけ? 石田の試合って松橋戦しか見てないんで、わかんないや。

 そういえば、ハビエル・ママニ(アルゼンチン)に勝ったんじゃありませんでした? 金山が最終回にKO負けした世界ランカーの。

 ということは、世界ランカーを名乗る資格はあるんだ。ふーん。

 何よ、その「ふーん」って。

 だからって、暫定王座決定戦? しかも相手の…、なんていうんだっけ?

 マルコ・アントニオ・バレラじゃなくて、アベンヌウオーターだっけ?

 それは化粧水でしょ。マルコ・アベンダーニョですね、ベネズエラの。去年、石田がやった「挑戦者決定戦」と同じカードなんですよね。それにしても初めて顔出しますけど、ホントにしょうもないボケ方するんですね。

 おれはこれに毎回、つき合ってるわけよ。わかりますか、この苦労が。

 それは井川さんがボケてほしそうな顔してるからですよ。

 それは野球選手だろ。それにおれはイ○ウエだと、何度言えばそのワザとらしいボケをやめるのかな。とにかく話を戻すと、その「去年と同じ顔合わせ」というのも大いに引っかかるだろ。

 たしかにね。

 採点が割れて、「地元判定じゃないの?」って声もあったというから、再戦するのは大いに結構だと思うよ。でもそれがなぜ、世界王座の決定戦になるんだ? しかも「暫定」。

 そこまでして「世界タイトルマッチ」がやりたいのかってことでしょ。わかるなあ、その気持ち。

 なぜにそこで「上から目線」? まあいいや、突っ込むと余計に疲れるから。また話を戻すと、そういうことだよ。「そこまでして世界戦がやりたいのか」ってね。だいたいいま、日本に世界チャンピオンが何人いると思ってるんだ?

画像 5人ですよね。

 全員の名前、言える?

 長谷川穂積(真正)、ホルヘ・リナレス(帝拳)、西岡利晃(帝拳)、それから人気者の内藤大助(宮田)とあと1人。えーっと・・・・名城信男(六島)だ。

 その5人がどうかしたの?

 タレントも兼ねてる内藤が、やっぱりいちばん知名度が高いと思うけど、残り4人ってどんなもんだ? 長谷川はここまで実績を伸ばしてきたし、NHKでドキュメンタリーやったりして、アスリートとしての注目度は上がってきているからまだいいよ。でも西岡や、もっと言えば名城あたりは、ボクシングファン以外の人にどれだけ知られてると思う?

 致命的な知名度の低さですな。

 山田く~ん、座布団全部持ってって……

 こんなやりとり、ほんとにやってんですねェ(苦笑)。これ以上、誰も知らない世界チャンピオンを増やしてどうするんだ、と。

 世界チャンピオン至上主義ですね。世界を獲らなきゃ食っていけないっていう事情があるから、一概に責められはしないんですけどね。

 それも今や昔、だよ。石田が暫定を獲れたとして、それで食っていけると思うか?

 どうでしょうね。冷静に考えれば、難しいと思うけど。

 そこまでして「世界戦」をやる意味って、あるのかな。

 誰にも知られないなかで世界を獲り、知られないうちに王座を失う、と。まあ、獲れたらの話ですけどね。

 たとえばさ、サッカーのワールドカップ。あれは世界各地で地区予選を突破しないと本戦に出場できないだろ。その本戦だって、1次リーグを勝ち抜かないと決勝トーナメントには進めない。

 ふむふむ。

 日本代表で言えば、アジア予選を突破して本戦出場を決めた状態っていうのはボクシングにたとえると、OPBF王座を獲って、さあ世界王座に挑むぞっていうようなもんだと思うわけよ。

 個人競技と団体競技の違いとか、競技人口の規模の差もあるから一概には言えないけど、何となくわかりますね。

 ということは、1994年のアメリカワールドカップのときは、OPBFタイトルを最終12ラウンドで獲り逃がしたようなもんか。4年後のフランス大会は、土壇場で勝ち残って世界挑戦権を手にしたけど、肝心の世界戦では大惨敗。2002年の日韓大会は、うーん、地元判定で世界を獲って初防衛戦で負けたようなもんか。3年前のドイツ大会もタイトル挑戦して失敗したようなもんですな。

 だけどさ、それでもサッカーはそれなりに盛り上がってるじゃないか。国内だってJリーグ発足当時のバブル人気はないけど、すくなくともJ1の選手はサッカーでゴハン食べてるだろ。

 かたやボクシング界は、世界を獲ってやっと食べていける状態だったのが、それすら怪しくなりつつある。そう言いたいわけですね。

 サッカーのワールドカップは、4年に1回だけっていうところで価値を高めている部分もあるしね。

 そう考えるとさ、日本のボクシングも世界チャンピオンだけにこだわるんじゃなくて、まずは国内での頂上争いの価値を高めることが大事なんじゃないかって思うんだよ。極端な話、「今年は世界戦、なかったねェ」って年があったっていいじゃないか。その分、日本やOPBFのタイトル争いで盛り上がって、そこを勝ち抜いた選手だけが世界に挑む。それで勝つときもあれば、負けるときだってある。それが健全な状態だよな。

 日本タイトルを年間で3度防衛すれば食べていけるような、ね。きょうの小野寺洋介山と和宇慶勇二の日本タイトルマッチみたいな試合こそ、多くの人に見てほしいですよね。

 ですね。

 こういう国内・地域タイトルで盛り上がって、その期待感を世界戦につなげるような流れになってほしいなー。

 それにしても、きょうは面白い試合でしたね。ね、イノウ○さん。

 おれだけ試合に間に合わなかったからって、そういうことを言うのか、君らは……。

この記事へのコメント

ゴリ
2009年08月12日 20:55
こんばんは。編集部のみなさんの意見ももっともだと思います、私は元ボクサーですが、第一に試合ができること自体がうれしいことだと思っています。地方に行けば試合すら組めない状態の選手もいると思います。まして世界選となれば出場すること自体が夢のような話だと思います。ここはひとつ、難しいことはなしにして世界戦にのぞむ選手の気迫を信じてください。みんな真剣にやっています、応援して下さい。
あなざありょうじ
2009年08月12日 22:02
[安] 日本タイトルを年間で3度防衛すれば食べていけるような、ね。きょうの小野寺洋介山と和宇慶勇二の日本タイトルマッチみたいな試合こそ、多くの人に見てほしいですよね。

↑激しく同意致します。
CQ
2009年08月13日 13:59
長文になりますが、失礼します。

理想をいえば、
OPBFとって「さあ世界挑戦するぞ」ではなく、
OPBFとって「さあ世界ランカーたちとしのぎを削るぞ」ですよね。これがワールドカップの本戦であり、健全な競技ピラミッドです。
ビジネス的な事情があるからやむをえないのは理解するとして、それならば世界へ出るまでのふるい落としをもっと真剣にやって欲しいものです。

「日本タイトルを年間で3度防衛すれば食べていける」この状態を万事供給できるような体制作りが最優先命題かも知れません。年間4試合として、これならば1戦は調整試合または世界ランカーとの試合に当てられます。

今はネットでの動画が普及してきましたので、選手を抱えるジム側も売り出したい選手の動画を進んで配信・提供していく努力が必要です。もはやテレビをあてにしてはいけません。。
ほずみ銀行
2009年08月20日 00:10
出場することじたいが夢だから黙って応援しろだ? ふざけるなって。こういうくそ甘ったれコメントほんとはらたつな。

編集部も甘い。石田だの升田だの、こんなわけわからん世界戦なんか応援する気にならんとか、負けたほうがいいくらいのこと言えよ。

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