マック田口の《長谷川穂積vs.ジョニー・ゴンサレス》手記

 4月8日、神戸。WBC世界フェザー級チャンピオン、長谷川穂積(真正)がジョニー・ゴンサレス(メキシコ)に4回58秒KOで敗れた一戦に、“あしボク関西支部”マック田口もいつもどおり参戦。残念な結果に終わったショックはいまも癒えないけれど…恒例の手記を一筆。

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 粟生隆寛と西岡利晃がKO防衛を飾り、神戸ワールド記念ホールに駆けつけた8,500人もの観衆は、トリプル防衛戦のメインに登場するフェザー級チャンピオン・長谷川穂積への期待は膨らむ一方だった。

 WBC世界フェザー級タイトルマッチのリングコールがあり、挑戦者のゴンサレスがリングイン。落ち着いた表情だ。さすがは元WBO世界バンタム級チャンプ。

画像 そして、大歓声で迎えられた王者・長谷川も静かなる闘志を秘め入場した。

 リング下で長谷川陣営はリングに一礼、山下正人会長の『今の日本に元気を感じてもらえるように頑張ろう』という言葉を受け、リングへの階段駆け上がった。

 試合は1ラウンドからスリリングな展開だった。長谷川のスピードにはついてはいけていなかったが、その分ガードでブロックしながら左フックをヒットさせるゴンサレス。ペースはまだどちらにも傾いていなかった。

 3ラウンド。長谷川の連打からのボディブローが精密度を増す。ペースをつかみかけたと思えたが――

 長谷川のセコンドに付いているマルコム・ツニャカオ(OPBFバンタム級チャンピオン)が「ハセガワ! アタマ、アタマ、ミギ!」と何度も指示を出していたのが、耳に残る。打ったら頭の位置を変えろという意味だろう。

 そして、運命の4ラウンド。

 「長谷川は左フックを警戒しているのがわかったので右フックに切り替えた」と試合後にゴンサレスがコメントした通り、その右フックが長谷川の顔面をとらえ、後方のロープ際まで吹っ飛んだ。

 「とにかく、パンチ力は半端ない」との評は長谷川陣営からも耳にしていたが、これまでの破壊力とは…。衝撃の一撃に会場の時が一瞬止まったように思えた。

 ロープにつかまりながら立ち上がった長谷川は赤コーナーを見た。山下正人会長の「大丈夫、大丈夫!」の声にうなずく長谷川はファイングポーズをとり、レフェリーに試合続行をアピールしたが、レフェリーは長谷川のダメージが足にきていることを察知し試合終了を宣告した。

 会場は騒然・・・というより、今起こっている状況を認識できず私もしばらく言葉を失っていた。

『これがボクシングです。相手の方が強かった。自分が弱かっただけなので次やるにしても相当な覚悟がいる。しばらくはゆっくり休みたい』

 長谷川は控え室に戻って語った。フェザー転向2戦目、まだ進化過程だと信じている。まず今はゆっくり休養を取って心と体のケアに時間を費やしてほしいとただ願う。

 試合後、いろんな意見を見聞きした。中には辛辣なものもあったが、私も全てを受け止めて前に進む。

 世界チャンピオンになる前から長谷川穂積というプロボクサー、いや人間を見てきた一人という自負があり、スピードあふれるスタイリッシュなボクシングスタイルとは裏腹に、山下会長や真正ジムの仲間とともに逆境を這い上がってきた姿も見てきた私は、復活を信じて疑わない。

《文中一部敬称略》

[あしボク特派・マック田口
 Makoto "Mac" Taguchi

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