終わりかた 【酔いどれ前のひとりごと vol.142】

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vol.142 終わりかた


 テレビ東京が東京12チャンネルだったころ、古い話だけど……でも、年とると、古いも新しいもあんまり関係なくなってきて、時間の遠近よりも試合や選手の善し悪しだけが残る感じになってきて、で、その東京12チャンネルが、ある日、ロベルト・デュランとアレクシス・アルゲリョ、それぞれの試合を放映した。デュランがライト級、アルゲリョがフェザー級かジュニアライト級のときだった。

 相手は誰だったか覚えていないが、両者ともにきっちり勝って、そのとき解説者だったかゲストだったか、これも誰だったか覚えていないが、こんなことを言った。

 デュランとアルゲリョ、この二人はいったいどんな終わりかたをするんだろう――。

 当時二人はそれぞれのクラスで敵なし、負ける姿が思い浮かばない、だからこその発言だったと思う。

 おれにはそのセリフがずっと残っていて、そして二人のラストファイトまで見届けた。だけどそれが終わりの姿ではなくて、リングを降りたあとの動向が伝わるたびに二人はまだ終わってはいないと思うようになった。現在、デュランは存命だがアルゲリョは死んじゃってる。だからデュランはともかく、アルゲリョは終わったと思った。だけどやっぱり終わっていない。

 青臭くてもセンチメンタルでもウソっぽくてもキザったらしくても、えーと、少女趣味でも独りよがりでも大間違いでも、なんでもいい、どうでもいい。デュランもアルゲリョもまだ終わっていない。

 っつうかさ、終わりはなかったんだって、やっとこさ、わかった、ような。雑誌でもネットでも名前を見るだけで彼らはリングにいるもの、ファイトしてるもの。二人に限ったことじゃない。キャリアを終えても、そういうボクサーはいっぱいいるだろ、ボクシングが好きな人なら。

 記録より記憶に残るボクサー、そんな言い回しも薄っぺらになっちまったが、おれが死ぬときに二人は終わりになる、それまで終わりはない、ってことだろな。

 っつうことでさ、何はともあれ年の瀬、ひとまず乾杯すんべ、お疲れさん。


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vol.73 重箱のスミ~2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ~2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン~もちろん架空~エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。


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