オールド・ファッション・ボクシング~2 【酔いどれ前のひとりごと vol.109】

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vol.109 オールド・ファッション・ボクシング
~タイソンからパッキャオまで~2


 WOWOWエキサイトマッチの1991年1月放送分で、ヘクター・カマチョがWBOジュニアウエルター級王者として登場した。WBOはまだまだマイナーな新興団体だった。このときのカマチョのファイトマネーが1億を超えるなんて驚きで、なんでそんなに、どこからそんなに、と、あきれたもんだ。

 レコードからCDに変わったことで音域が狭まったというようなことを聞いた。

 音楽にはド素人だから、とりあえず普通にクリアで便利ならいいじゃないかとCDを支持しちゃうが、或る専門家に言わせると、それまで全身で聞いていた音楽がCDになったことで耳からしか聞けなくなったんだそうで、それは音の領域をある程度のところでカットしてしまったから、だって。

 音楽は耳から聞くんでしょっていう人には、じゃ、物を食うのは口から食うのか、ほんとに腹減ったときは体じゅうで食うだろって、言っても分かんなければ、アノことを思いだせば、アレはアソコだけでやるもんじゃないだろって、アレこそは、いや、失礼。

 こじつけのためにCDのことを持ち出したけれど、ボクシングも地上波打ち切りと衛星放送開始で、見る人をある程度のところでカットしてしまった。新しい有用なシステムについていくことができるなら、そういうマニアにはペイテレビも歓迎だろうが、そこまではできないよっていう人も、けっこういる。

 偶然にテレビでボクシングを見て興味や志をもった、なーんてことはいよいよ減る。

 この「偶然に」っていう奴が、インターネットやケータイその他もろもろのおせっかいによって、どんどんなくなっていって、いつか人間さまのほうでも「偶然に」っていう奴を受け付けなくなっていったりして・・・・まあ、しゃあねえかって、残念でたまらないけど、言うしかねえか。


 2008年12月31日、坂田健史が2RKO負けでWBAフライ級タイトル5度目の防衛に失敗した。大晦日の世界戦は初めてらしいが、負けてみると気の毒な気がする。

 来たる年の厄払いをしたと、落し噺にはそんな慰めがあるが、いっくらファイティングスピリットがあっても体がいうことをきいてくれない時と、なにくそと思えばそれなりに体がいうことをきいてくれる時と、二通りあるんだと、くだけたアゴを思い起こしたよ。

 明けて1月3日、西岡利晃がヘナロ・ガルシアに12RTKOでWBCスーパーバンタム級タイトルのうれしい初防衛。奪ったときは暫定王者だったはずだが…なーんて、言わぬが花。

 途中で拳を痛めたらしいけど、昔からこの選手は左一本で戦っているという印象で、自分の体なんだから右手も信用してやって、楯じゃなく打つ拳としてきっちり使えば見端(みば)のいいボクシングができそうとは、観戦のたびに思うこと。

 小堀佑介はパウルス・モーゼスに判定負けで、WBAライト級タイトル初防衛は成らなかった。3Rあたりまでは緊張感があってよかったが、相手が足を使いだしたら、戦闘バランスが崩れて相性が合わなくなった感じ。

 勝った相手を褒めるも、敗れた小堀に我が身をかさねて、こんなんでいいのか――と、ぼんやり思う。


▽バックナンバー
vol.108 オールド・ファッション・ボクシング~1
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vol.106 粟生で思い出した「女神の機嫌」
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vol.103 大場政夫の強さについて
vol.102 ずるずる負け
vol.101 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 3
vol.100 日本最高試合その3
vol.99 日本最高試合その2
vol.98 日本最高試合その1
vol.97 たわごと・ざれごと・えそらごと Part 2
vol.96 たわごと・ざれごと・えそらごと
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vol.94 ゴキブリ発言
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vol.92 それぞれの落日
vol.91 運の悪い男
vol.90 ロッカールーム
vol.89 重箱のスミ~2006年12月号
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vol.76 重箱のスミ~2006年3月号
vol.75 悪いのはだれだ? おれだ…
vol.74 オサム会長はおっきいのがお好き
vol.73 重箱のスミ~2006年2月号
vol.72以前 夜明け前,カメダ・ワールド,重箱のスミ~2006年1月号,逆転の貴公子,ほんの少しの恐怖,ジャブを出せ,ガッツ石松 vs ロベルト・デュラン~もちろん架空~エキジビション,最強という名の幻想,年間最高試合について,これぞ伝説,アリ、フレージャー、そしてフォアマン,だけどファイティング原田は好きだった,なんとなく空想対決[G.フォアマン vs B.サップ],拳聖....etc.


■酔田振男(よった・ふりお)
1953年生れ、東京都出身。街頭テレビで藤猛vsニコリノ・ローチェを見てボクシングに惹かれ、観戦通いを始める。今はもっぱらテレビ観戦。ここ数年は週2回のキャバクラ通いに余念がなかったが、年のせいか近頃控えめ。(有)トランス企画社長。独身。

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